人口減少社会で進んでいるもの ── 核家族化よりも単身化と家族の多様化
年齢別に見た単独世帯数の変化
単身化の進行についてさらに見ていきましょう。単独世帯数はどのような年齢で増加してきたのでしょうか。図1は年齢5歳階級別の単独世帯主数、単独世帯主率(ともに男女計)を示しています。単独世帯主とは単独世帯を構成する世帯人員、すなわち単身者数です。単独世帯主率とは、年齢別人口に占める単身者数を意味します。1980年、2010年、2040年の推計値を示しており、30年ごとの変化がわかります。 1980年と2010年を比較すると、どちらも最も数が多いのは20~24歳ですが、25~29歳以降の年齢では2010年が大きく増加しているのがわかります。これは晩婚化が進んだことで、未婚であるために単身化するという人が増えたことを意味します。 世帯主率も大きく上昇しており、ひとり暮らしという居住形態が、若い時の一時期だけであった社会から、中高年にまで継続するような社会になったといってもよいでしょう。なお、高齢期の単身者の増加には、夫の死亡により単身者となった女性も多く含まれています。寿命が延びたことによって、未亡人として暮らす期間が長くなったということです。 2040年の推計値を見ると、その傾向はさらに強くなります。数として増加するのは主として高齢期の年齢です。これは晩婚化が進んだ結果として家族形成せず、未婚のまま高齢期を迎える人が増加するということの現れです。80~84歳では世帯主率は約25%であり、高齢期は軒並み20%を超えています。 4~5人に1人の高齢者は一人暮らしであるという社会がそれほど遠くない将来にやってくる。子どもや孫に囲まれて暮らすというような、一昔前であれば当たり前に思われていたことを実現できる人は、非常に限られてくるでしょう。すでにきょうだい数は減ってきていますから、親戚の数も減っています。子どももいない、親戚もいないという高齢者がこれから先は間違いなく増加してきます。 図1は30年ごとのデータを掲載していますが、30年という期間は大体一世代です。親世代、子世代、孫世代のそれぞれが生きる社会がこれだけ大きく変わるというのは、注意しなければなりません。家族形成にかかる様々な行動が世代によって異なり、ライフコースの基底的条件も異なっているということですから、親世代からすると自分の経験が子世代、孫世代には当てはまらないということも起こります。