「出張中は一日三食駅弁です」 駅弁とB級グルメに魅せられた弁護士の"偏愛"
駅弁のライバルはコンビニ弁当ではなく、街の飲食店ではないか
公園で弁当を頬張りながら、よどみなく語られる駅弁愛。駅弁の「掛け紙」はコレクションしている。 最近では1500円や2000円で売られることも多く、通常の弁当と比べて高額な印象だ。それでもなぜ駅弁にひかれるのか。 「電車や新幹線の移動が好きなことはもちろん、駅弁の魅力は、その地方の特産品が駅弁の一つに凝縮されていることにあります。街に出て飲食店で名物を一通り食べようとするとそれなりのお金も時間もかかりますが、駅弁だとお手頃です。駅弁と同じマーケットはコンビニ弁当などではなく、飲食店ではないかなと思います」
西日本を中心に北海道から鹿児島まで回り、駅弁の記事は今月10月時点で合計650件を数える。1つの記事で2~3個の駅弁を紹介することもあり、食べた駅弁の数は把握できていない。なお、B級グルメの記事はおよそ860件だ。 講演やセミナーでの地方行脚は新型コロナ流行で減少したが、多いときには年間100件を超えていた。クライアントには「一番遠くのお仕事をお願いします」と頼み、わざわざ遠方を選んでいたという。
弁護士として取り組む相続分野の事件でも、相手方の居住地にある家庭裁判所を陸路で訪れることもあり、そのたびに京都から電車に揺られて、各地の駅弁やご当地グルメを腹におさめてきた。 オンラインでの仕事が増えた今では、仕事ではなく、オフの時間に「駅弁旅行」を堪能している。「最近も青春18きっぷを使って、沼津、広島、岡山、九頭竜湖、紀伊半島を回ってきました」
●変わりゆく駅弁業界、変わりゆく法曹界、そして変わらぬもの
駅弁業界は調製元の廃業や買収が続き、小沢弁護士は食べられなくなった駅弁に思いを馳せる。 「昔は全国の駅弁もさまざまな調整元が群雄割拠していたのが、大手に収斂しています。駅弁は基本的に保存食で、味が濃いため、大手が買収したとしても微妙な味わいの再現に困ることはないかと思います。ただ、実際に食べられなくなった駅弁はたくさんあります」 5年前、担当事件のため、山口県の家庭裁判所に通い詰めだった。新幹線で新山口駅に乗り換える際に駅弁をよく買った。 「新山口駅の駅弁は全種類食べて、さらにもう一周食べたことがあります。当時、倒産した山口の小郡駅弁という調整元を広島駅弁が買収したんです。新山口駅の駅弁が広島駅で買うことができる駅弁とほぼ同じになったのでよく覚えています」 調製元は駅弁の販路を駅だけでなく、催事や空港の「空弁」にも広げている。