【え! ? この美味しさでこの値段! ? 】進撃を続けるスシローカフェ部。パティシエが作るデザート開発の舞台裏がスゴかった!
クオリティと、製造&提供の安定を考えるチェーン店のスイーツ開発とは?
━━回転寿司チェーンだからこその苦労はありますか? 月輪さん「スシローは全国に600以上の店舗があるので、製造はすべて自社工場ではなく、取引のある工場にレシピ通りに作ってもらう形にしています。スシロースイーツの開発には、たくさんの方が関わってくれているんです。アイスやスポンジ、ケーキなどはすべて協力会社の工場で作ってもらうことが前提なんです」 ━━なるほど。工場の生産ラインに乗せないといけないから、作りたいものをすべて実現できるわけではないんですね。月輪さん「そうなんです。ホテル時代は自分の手を動かして、味がイマイチだったら分量を減らそうかな、焼き時間を調整しようかな、と簡単に改良することができましたが、今は違います。各工場に改良内容を細かくお伝えして、生産ラインで可能か相談しながら、商品の改良をしてもらいます。一緒になって作っていくところが、難しさでもあると思っています。まずは工場の生産ラインで実現できる規格で、大量製造ができて、価格も範囲内で…って」 ━━超えなくてはいけない壁がめちゃくちゃ多いですね…! 月輪さん「その課題を乗り越えて、理想のスイーツができた時は本当に嬉しいです! あとは『誰が作っても美味しい』…そんな商品を作れるような仕様にしておかないといけません。『老舗茶舗のお抹茶モンブラン』はオペレーション軽減のために工場で完成品にしてもらって店舗で解凍するだけでおいしい商品として提供可能です。一方パフェなどは、店舗で組み立てるので、例えばソースが何gで、これはスプーンすりきり何杯分…といった具合に、細かく設定します」 ━━商品が来て「写真で見たものと違う…期待していた味と違う…」は避けたいですもんね。月輪さん「こちらのパフェにも『森半』の宇治抹茶を使っているのですが、下の層に入っている抹茶蜜だけは店内での仕込みをお願いしています。でないと綺麗な抹茶の色味がキープできないのと、味も香りも全然違います」 ━━各店舗でのオペレーションを増やす、というのも、きっと壁になるんでしょうね。月輪さん「そうなんです。数店舗の変更ならまだしも、600以上の店舗のオペレーションを増やしたり、材料のストック場所を考えてもらったり…店舗は店舗の立場でリスクを考えるので、最初はやっぱりちょっと反対されます(笑)。それでも、店内仕込みとそうでないものを食べ比べてもらって、プレゼンします。『こんなにも違うんですよ』って。できるだけ負担のないようにしますが、クオリティのためには譲れない時もありますね」