「お金返して」「詐欺だよね?」脱毛クリニック大手の破産に客ら悲鳴…アリシアだけじゃない“倒産するサロンに共通する予兆”
次第にサービスの質も悪化していった
前受金で無制限に客が通い続ける体制を見直したのか、アリシアクリニックは2019年に通い放題のプランを廃止。それでもひずみは解消できなかったのか、同時期には「サービスの質が悪化しはじめた」と六條さんは振り返ります。 「私のブログでもさまざまな倒産事例を紹介しているのですが、一つ、目立った変化としては、通い放題の廃止と共に新たな脱毛機器を導入したことがありました。他のクリニックでも導入されている機器で、導入コストが安く丁寧に扱えばそれなりの効果は見込めるものでした。ただ実際には、クリニック側の都合で施術時間を短縮するために導入されるケースが多く、結果としてサービスの質が落ちてしまい、クチコミでも『あまりよくない』という声が目立ったんです。 他にも、2024年春頃にはアリシアクリニックが長年にわたってこだわっていた『当日キャンセル可』が廃止されたのも、わかりやすい変化でした。私自身、破産直前に顔脱毛のレーザー照射で身の危険を感じたこともありました。それまでは丁寧な施術を心がけていた印象でしたが、私が受けた日は、目の付近でのレーザー照射時に痛みを感じて、『目が痛いです』と訴えてもやめてくれず、事後に一言謝られただけで、細かな説明は何ひとつありませんでした」
ハイエナ脱毛サロンに飛びつく前に
アリシアクリニックの破産開始決定を受けて、行き場を失ったお客さんを受け入れようと「見かけだけの救済プラン」を打ち出す“ハイエナ脱毛サロン”もあるとか。「施術を受けるかどうか、慎重に判断してほしい」と、六條さんは警鐘を鳴らします。 「救済プランすべてが悪いとは言いません。ただ、アリシアクリニックの倒産を想定できなかったお客さんは、慎重に選んでほしいと思います。今の知識のまま焦って飛びつくと、また判断を誤ってしまいかねません。実際、アリシアクリニックの倒産を予見する情報は多かったものの、損をしてしまった人が多くいました。何かを失った直後にうろたえて、取り戻そうとするのはわかるんです。 ただ、なかにはアリシアクリニックとの比較で『割引額ばかりをアピールする』、『救済としながらも契約までの期限をせかす』など、冷静に考えればおかしな脱毛サロンもあります。ですからいったん冷静になって、今回なぜ失敗したのか、どういうクリニックが自分にふさわしいのか、調べ考える時間を少しだけ作って欲しいです」 アリシアクリニックの破産開始決定にまつわる、一連の騒動。そこから、消費者が得るべき教訓もあるのか。六條さんは、メッセージを残します。 「まず、脱毛はどれほど安くても数万円はかかりますし、高額な契約だと理解してほしいです。その上で、価格だけで比較すると失敗しやすいので、注意が必要です。また、最近では『全身脱毛5回、最短5ヶ月で完了』など、聞こえのいいうたい文句で契約を誘うサロンもありますが、ネット検索で『脱毛の仕組み』と簡単に調べるだけでも「ありえない」とわかります。ほんのわずか、調べるだけで自分を守ることができるんです。私のブログでも情報発信をしているので参考にしていただけるとうれしいです。 脱毛に限らず、美容関連の情報は誤りも多いので、調子のいい言葉には用心するべきで、一人でも多くの人が『支払ったぶん』だけ満足いく結果になるよう願っています」 【六條かげり】 ほぼすべての脱毛を経験しており、使った総額は300万円以上。脱毛に関する情報を発信するブログ「すっごい脱毛ブログ!」「脱毛のカガク」を運営している。これまでに受けた脱毛相談は1万件以上。X(@datumoushon)では匿名の質問サービスで相談を受付中。 <取材・文/カネコシュウヘイ>
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