東京都も高齢化率は過去最高に。65歳以上の生活費・年金・貯蓄のバランスを考える
東京都が2024年9月11日に調査した「敬老の日にちなんだ東京都の高齢者人口」によると、65歳以上の高齢者は311万8000人でした。 ◆【棒グラフ】65歳から69歳までの就業率の推移。年金や貯蓄の平均額つき 高齢化率は23.5%で、過去最高の水準となっています。 では、65歳以上の高齢者における年金や貯蓄、生活費の実態はどうなっているのでしょうか。 今回は、高齢者の生活実態について解説します。記事の後半では、高齢者の年金にかかわる「在職老齢年金」についても解説するので、ぜひ最後までご覧ください。 ※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
日本の高齢化率と生活実態
内閣府が公表している「高齢社会白書」から、高齢者の割合やどのような生活をしているのか確認しましょう。 ●高齢化率 65歳以上の高齢者の人口は、3623万人とされています。 日本の総人口に占める高齢者の割合(2023年(令和5年)10月1日時点)は、29.1%でした。 高齢者のうち74歳までの割合は13.0%ですが、75歳以上の割合は16.1%で、長生きする高齢者が増加しているといえます。 内閣府の推計では、2070年には高齢化率が38.7%と3人に1人は65歳以上になると予測しています。 高齢化率の上昇によって、高齢者の働き方にも大きな影響を及ぼしています。 ●高齢者の働き方 65歳以上の就業率は、20年連続で前年を上回っています。 最新の結果では、65歳から69歳までの就業率は52.0%でした。 70歳から74歳までの就業率は34.0%で、75歳以上の就業率は11.4%と、すべての区分で前年を上回っていました。 以上から、日本では東京都に限らず高齢者が増加傾向となっていて、働く高齢者も徐々に増加しています。 では、高齢者の生活費や貯蓄といった生活状況はどのようになっているか、確認しましょう。
65歳以上の生活実態
65歳以上の生活実態を、以下の3つの項目に分けて確認しましょう。 ・生活費 ・貯蓄 ・年金額 それぞれの項目でどのような特徴があるのか確認してください。 ●生活費 総務省統計局が2024年2月6日に発表した「家計調査報告(家計収支編)」によると、65歳以上で二人以上の無職世帯における生活支出は、25万2928円でした。 内訳は以下の通りです。 ・食料:7万6062円 ・住居:1万6304円 ・光熱・水道:2万3809円 ・家具・家事用品:1万864円 ・被服及び履物:5346円 ・保健医療:1万6210円 ・交通・通信:3万1439円 ・教育:352円 ・教養娯楽:2万3861円 ・その他の消費支出:4万8681円 また、社会保険料や税金で支払う支出は3万3248円でした。以上から、平均で25万円程度が家計支出としてかかるとされています。 ●貯蓄 総務省統計局が2024年5月17日に発表した「家計調査報告(貯蓄・負債編)」によると、65歳以上の無職夫婦世帯における貯蓄の平均額は、2504万円でした。 直近5年間では、最も貯蓄額が高い結果となっています。 内訳をみると、最も貯蓄額が高かったのは「定期性預貯金」で846万円でした。次いで「通貨性預貯金」「有価証券」「生命保険など」が続きます。 では、65歳以上の高齢者が受給している年金額も確認しましょう。 ●年金額 厚生労働省が2023年12月に発表した「厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、65歳以上の厚生年金と国民年金の受給平均額は、以下の通りでした。 厚生年金はおよそ14万円から16万円で、国民年金は5万5000円から5万8000円台です。 生活費の状況を考えると、年金だけでは生活できない状況であることがうかがえます。 少ない年金をカバーするために、働いている高齢者もいるといえるでしょう。 さらに、年金制度の新たな改正で、今後も働く高齢者が増える可能性があります。 どのような制度改正なのか、確認しましょう。