アフガンに「秘密美容学校」…タリバン政権の営業禁止下で極秘開校
イスラム主義勢力タリバン暫定政権が美容院の営業禁止を命じたアフガニスタンの首都カブールで、美容師の訓練校が極秘開校し、少女たちが技術の習得に励んでいる。将来、美容院が解禁されることを期待しながら、秘密の講義が続いている。(カブール 吉形祐司、写真も)
「きょうは目のメイクの説明です」。集まった生徒から一人を選び、鏡台の前でお手本を見せる講師の話に生徒は熱心に耳を傾けた。
地元の支援団体が今年8月に開校した訓練校では14~18歳の少女と32歳の女性の計10人が、メイク4か月、ヘアスタイル2か月の半年コースで学ぶ。
国語や数学も
訓練校は、タリバンが就学を禁止した中学以上の女子たちの地下学校でもある。国語や数学を学び、下級生の先生役も務めた後、毎日午後2~3時の間、美容師の基礎技術を身につける。
「タリバンが女子教育を禁止し、学校に通えなくなったから家にいるしかなかった」。こう語る講師の年齢は17歳。美容院で働きながら技術を学んだ経験があり、他の少女たちの指導にあたる。コースが終了すれば、地下営業をする美容院に就職できる可能性がある。
講師の少女は「信用できる人と接触して美容院を紹介してもらう」と地下美容院とのパイプの重要性を強調する。支援団体の男性は「美容院が禁止されても結婚式はあるし、女性は普段からおしゃれもしたい。需要はある」と話す。
悩みは訓練に使う化粧品などの費用の捻出だ。鏡台は中古が1台だけ。ファンデーションは日本円で1000円前後で、結婚式で使うブランド品は約5500円と高額だ。現在は中東のある国の政府による援助などでまかなっているという。
結婚式で
危険を冒して美容師を目指す理由について、少女たちは「収入のため」と口をそろえる。タリバンが女性の就業機会も制限する中、美容師の報酬は格段に高い。