今季のF1から見える2020年。ハミルトンが挑むシューマッハ超えとレッドブル・ホンダの王者メルセデスへの挑戦
2019年のF1は、最終戦アブダビGPのレース終了とともに幕を下した。今シーズンのF1を制したのは、今年もメルセデスだった。 ドライバーズ選手権を制したルイス・ハミルトンは自己ベストタイ記録となる年間11勝を挙げ、通算6度目のチャンピオンに輝いた。 2019年のF1は第3戦中国GPで通算1000レース目を迎えた。F1の長い歴史の中で、6度以上のタイトルを獲得したドライバーは2人しかいない。ハミルトン以外のもうひとりのドライバーは、皇帝と称されたミハエル・シューマッハだ。 2020年のハミルトンは、このシューマッハが持つ偉大な記録への挑戦の年となる。ひとつはドライバーズ選手権を制して、7度目のタイトルを獲得し、7冠王者のシューマッハと肩を並べることだ。2014年から2019年までの6年間で5回チャンピオンに輝いていることを考えると、決して不可能なことではない。しかも、2019年に優勝したトップ3と呼ばれるメルセデス、フェラーリ、レッドブルの3チームのドライバーは、2020年も同じラインナップ。王者ハミルトンにとっては、手の内を知る相手が2020年もライバルとなる。 ハミルトンが2020年に挑むもうひとつの偉大な記録は、F1史上最多となる91勝への挑戦だ。この記録を保持しているのも、皇帝シューマッハだ。1991年の途中にジョーダンからF1にデビューしたシューマッハは、翌1992年のベルギーGPで記念すべきF1初優勝を挙げ、2006年の一度目の引退までの間に、ベネトンで19勝、フェラーリで72勝し、通算91勝を挙げた。2010年に復帰してからは戦闘力のあるマシンに恵まれず、1勝もできずに2012年に引退したが、通算91勝という数字は前人未到の記録としてF1史に刻まれている。 そのシューマッハの記録に、この6年間で急激に迫ってきたのがハミルトンだった。2007年にマクラーレンからF1にデビューしたハミルトンは、その年いきなり4勝し、翌2008年には年間5勝を挙げてチャンピオンに輝いた。その後、2009年2勝、2010年3勝、2011年3勝、2012年4勝とマクラーレンで通算21勝を挙げて、2013年にメルセデスへ移籍した。移籍直後の2013年こそ1勝にとどまったが、2014年からは11勝、2015年10勝、2016年10勝、2017年9勝、2018年11勝、そして2019年11勝と勝利数を伸ばし、現在通算84勝と、シューマッハの記録まで、あと「7」と迫っている。