複数の会社で働いています。社保加入の条件に当てはまると「複数の厚生年金保険料」を天引きされるのですか?
複数の会社での勤務で、いずれも社会保険の適用に該当する場合
最近では、働き方が多様化しており、複数の会社での勤務するケースも増えてきました。また、会社の方針で関連会社の業務に関わり、双方から報酬が支給されるケースも見られます。 例えば、A社とB社いずれも社会保険の加入要件を満たす場合には、両方で社会保険に加入することになります(※3、4)。 <2ヵ所以上で働き、どちらも社会保険の加入要件を満たす場合の手続き> 複数の会社で勤務し、いずれも社会保険の加入要件を満たす場合には、該当することとなった日から10日以内に、いずれかを「主たる事業所」として選択したうえで、被保険者自身が日本年金機構(送付先は年金事務所または事務センター)へ届出を行う必要があります。 被保険者が提出するのは「健康保険・厚生年金保険 被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」という届出書です。 <2ヵ所以上で働き、どちらも社会保険の加入要件を満たす場合の保険料> 管轄する年金事務所では、双方の報酬額を合算し、標準報酬月額を決定します。算出された保険料は、それぞれの会社の報酬割合に応じて双方で負担します。 例えば、A社とB社で勤務(いずれも社会保険加入対象)している場合 ・A社 報酬月額20万円 + B社 報酬月額10万円 = 合算した報酬月額30万円 標準報酬月額30万円の場合の厚生年金保険料(被保険者負担)は、2万7450円であるため、 ・A社での保険料負担は、2万7450円 × 20万円/30万円 = 1万8300円 ・B社での保険料負担は、2万7450円 × 10万円/30万円 = 9150円 上記の計算により、それぞれの勤務先から差し引かれる(負担する)ことになります。
まとめ
せっかく収入を増やそうと副業(複業)しても、そちらでも社会保険料が差し引かれることにガッカリすることがあるかもしれません。ただし、上記の厚生年金保険料のほか、健康保険料や介護保険料(40歳以上)などの社会保険料は、労働者(雇用される人)だけでなく、事業主(雇用する人)も折半で負担しています。 こうした届出や割合に応じた負担は、複雑で面倒ですが、病気やけが、そして将来の年金受給などへの備えとして、適正であるべきこと、そして負担責任を明確にするためでもあることを理解しておきたいものです。そのためにも、副業で社会保険の要件に該当する場合は、忘れずに届け出を行うようにしましょう。 出典 (※1)日本年金機構 短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大 3、短時間労働者の概要 (※2)日本年金機構 短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大のご案内 (※3)日本年金機構 複数の事業所に雇用されるようになったときの手続き (※4)厚生労働省・日本年金機構 兼業・副業等により2カ所以上の事業所で勤務する皆さまへ 執筆者:大竹麻佐子 CFP(R)認定者・相続診断士
ファイナンシャルフィールド編集部