あっという間に暗くなる季節、忘れずにチェックしておきたい自転車の明かり
自分や周囲の人を守るための安全装備
「秋の日はつるべ落とし」とはよく言ったもので、日没の時刻もだいぶ早くなりました。ちなみに「つるべ(釣瓶)」とは、縄などの先に桶を括りつけた、井戸から水を汲み上げるために使われる道具のことで、それを滑車などに掛けて使用します。つるべが井戸の中に素早く落ちていく様子を、秋の日暮れに例えた慣用句が「秋の日はつるべ落とし」です。 【画像】暗い道を走る自転車を画像で見る(6枚)
長く続いた暑い日がようやく落ち着き、日照時間も短くなってきました。気が付けばあっという間に暗くなっているこの時期に、自転車に乗っていて気を付けたいのが「ライト(前照灯)」です。 自転車には公道を走行するにあたって、必ず装備しておかなければいけないパーツがいくつか存在します。しかしながら、じつはライトは法律上、装備が必須なパーツとされていません。 ただし、夜やトンネルなど、暗い道を走行する場合は前方を照らす明りを点灯させる義務があり、ライトを点けずに(無灯火で)走行することは道路交通法違反になります。 解釈に混乱してしまうところもありますが、日常生活で自転車を使っていて、絶対に暗い道は走らないということは考えにくいので、ライトは必須装備だと思っていても良いでしょう。 とくに、あっという間に日が暮れてしまう時期は、明るいうちに帰りつくと思っても気が付いたら暗くなっていることもあるので、ライトが問題なく使える状態になっていることをチェックしておくことは重要です。 ライトと並んで装備が必須になるのがテールライト(尾灯)もしくはリアリフレクター(後部反射板)です。こちらはライトと違って、道路交通法第63条の9でどちらかは必ず装備しなければいけないパーツと規定されており、違反した場合には5万円以下の罰金が科されます。 前方に向かって照射するライトは、暗い道を走行中に障害物にいち早く気づくことを重点としていますが、後方に向けたテールライトやリアリフレクターは、暗い道を走っている自分の存在を後方の車両にアピールするための役割を担っています。 暗い場所を走る際に必須となるこれらのパーツですが、ただ装備されていれば良いというわけではなく、正しく機能しなければ意味がありません。 ライトについては、各都道府県ごとの道路交通法施行細則で「白色または淡黄色で、夜間に前方10mの距離にある障害物を確認することができる明るさが必要」とされています。一部地域では距離が「5m」とされていますが、走行速度や制動距離などを考えると10mは必要だと思って良いでしょう。 ということで、まずはライトが問題無く点灯すること、そして十分な光量があることを確認しましょう。点灯してもいまいち暗いと感じる場合は、ライトの交換も視野に入れつつ、ライトを覆っているカバーを掃除してみることをオススメします。 自転車はクルマと同じく外で使う乗りものなので、砂埃などで驚くほど汚れています。また、同様にリアリフレクターもチェックしましょう。表面が汚れていると明かりを反射することができなくなってしまいます。濡れタオルなどで拭くだけでも汚れは落ちるので、この機会にメンテナンスしてはいかがでしょうか。
史(ちかし@自転車屋)