早まり続ける女の子の思春期、なぜ? 「早すぎる子」が抱える困難と親ができる対処法とは
変化に対応する
成熟が早すぎると思われる女の子には、医師の診察を受けさせるべきだとビロ氏は言う。大半のケースでは、単に発達の状態を確認し、予想される体や感情の変化についての助言を受けるだけに終わるだろう。 「思春期の始まりが非常に早い、あるいは進むスピードが速い場合には、それが単なるタイミングの問題であって、脳腫瘍などの病的な原因がないことを確認する必要があります」とトポー氏は言う。脳内の異常により、思春期が早く訪れることもあるからだ。トポー氏によると、単なるタイミングの問題であれば、「薬によって一時停止ボタンを押す」ことも可能だという。 そうしたケースでは、医師が「GnRHアゴニスト」という種類の薬を処方して思春期のスピードを緩め、身長の伸び悩みなどの有害な影響を防ぐ場合もある。研究では、そうした薬は、思春期早発症を経験した女子の最終的な身長(18歳時)を伸ばす効果が示されている。 思春期がいつ始まるかにかかわらず、親は子どもにできる限り標準的な経験をさせることが重要だ。外見の年齢が12~13歳でも実際には8歳なのであれば、食事や睡眠習慣に関して8歳の子と同じようにする必要がある。 「たとえ外見が年上に見えたとしても、子どもを年相応に扱うことは非常に重要です」とトポー氏は言う。そうすれば、女の子は自分の体に快適さを覚え、自尊心を保ち、肉体的にも感情的にも自分を大切にできるようになる。 「思春期に経験する多くの変化は、自分にはどうすることもできないという無力感を伴います」とメンドル氏は言う。「子どもにその準備ができているかどうかにかかわらず、思春期はやってきます」 だからこそ、両親の言動は良い意味でも悪い意味でも大きな影響力を持つ。 「思春期、特に月経については、社会的に恥ずかしいこととして捉えられている面が多々あります」とメンドル氏は指摘する。「思春期への移行に対する偏見を減らすことが重要です」 そのためには、親が思春期についてオープンに話をし、自分の経験を分かち合うことが助けになる。 メンドル氏は言う。「そうした経験から子どもが何かを学べれば、思春期によりうまく対処できるようになるでしょう。それが、過去、現在、未来の自分は連続しているという感覚を持つことにつながるのです」
文=Stacey Colino/訳=北村京子