「自分迷子」の人が他にもいる?自分を認めてもらいたくて右往左往、そばに自分を認めてくれる友人がいてもそれに気づけない…【作者に聞く】
次に世界を獲るIP(キャラクター)は何…?X(旧Twitter)、Instagram、YouTubeなど誰もが自分の作品をネットで公開し、成功を収めることができる、時代はまさに「1億総クリエイター時代」。ネットにあふれるコンテンツから才能ある若手クリエイターたちを発掘、応援する「キャラコミWalker」から、橋本ライドン(@hashimotorideon)さんの漫画「ねこドリ」をご紹介!キャラクターはどうやって誕生するのか…創作秘話を橋本ライドンさんに聞いた。 【漫画】本編を読む ■失敗だらけでも少しずつ前に進んでいく「ねこドリ」 ――本作「ねこドリ」の誕生秘話を教えてください。 【橋本ライドン】普段は人間以外のキャラクターをあまり描かないので、学生時代から描いていた「ほしねこ」というキャラクターをベースにしてみようと考えました。「ほしねこ」は“ほし”と“ねこ”のふたりの話で、“ねこ”が“ほし”から理不尽な目に遭わされる(ビンタなど)のがお決まりでした。 そういうふたりの構図を作りたくて、一旦“ほし”より表現の幅を感じる“ねこ”の要素を残しました。それから今回は“ねこ”を理不尽側にしようと考え、“ねこ”から理不尽な目に遭わされるのはどういうキャラクターになるだろうと考えた結果、「ねこっぽいけど、実はねこの捕食対象であるトリ」という「ねこドリ」が誕生しました。 ――「ねこドリ」の中でお気に入りキャラは? 【橋本ライドン】お気に入りはやはり「ねこドリ」です。見た目だけでなく、から回って落ち込んではまたすぐ立ち直る目まぐるしさが気に入っています。物語の初めでは落ち込んで泣くだけだったのが、今や自分から何かアクションを起こすようになり……失敗だらけでも少しずつ前に進んでいく「ねこドリ」に、自分も頑張らなくちゃなという気持ちになります。 ――ライドンさんは「ねこ」は好きですか?ねことのエピソードがあれば教えてください。 【橋本ライドン】ねこはかわいいので昔から好きです!特別なエピソードはありませんが、学生時代に描いた「ほしねこ」の“ねこ”は慎ましやかでか弱かったのに、一転して「ねこドリ」のねこは凶暴で強い存在として描いているので、学生時代から今にかけてねこに対する認識が変わっていて少し面白いなと思います。 ――本作のエピソードの中で、ライドンさんが気に入っている回と、その理由を教えてください。 【橋本ライドン】カラスからねこを倒すための協力を求められたねこドリが、ねこを裏切ることができず、すんでのところでねこを守るシーンです(10話ー11話)。ねこドリを捕食対象としてしか見ていなかったねこに友情の気持ちが芽生え出し、ふたりの関係が少しずつ変わっていく大切なエピソードなので気に入っています! ■私自身もずっと迷子をしながら道を探しています ――「ねこドリ」はどんな人に読んでほしいですか? 【橋本ライドン】「ねこドリ」には副題があり、「自分迷子のねこドリ」です。ねこみたいなトリで、周りからはねこだと思われ、トリだと主張しても聞いてもらえない。自分を認めてもらいたくて右往左往して、すぐそばに自分を認めてくれている友人たちがいてもそれに気づけない。 それは、ねこドリ自身も自分に自信がないからなのだと思います。そういう「自分迷子」状態の人が他にもいるんじゃないかなと思うし、私自身もずっと迷子をしながら道を探しています。そんな人たちと私自身に、何度でも立ち上がるねこドリを読んでもらって、なんとなく仲間のように思ってもらえたらうれしいです! 漫画:橋本ライドン(@hashimotorideon)