15万ドルの借金持ちが、150万ドルの資産家へ。ハイチ移民の男性は、いかに10年でFIREを達成したか?(海外)
予算と投資
2012年、監査人であるデルヴァ=ゴンザレス氏は予算管理を始め、自分が月々に出費している額を見て驚いたそうだ。彼と3人のルームメイトは毎月食費だけで2400ドル(約36万円)を支払っていた。彼に言わせれば、「とんでもない額」だった。 当時はまだ学生ローンを返済したり老後のために投資したりする計画も立てていなかったため、デルヴァ=ゴンザレス氏は公務員ローン免除プログラムに飛びつき、各種年金プランである401(k)と403(b)、457(b)に投資する額を増やした。そうすることで、「調整総所得」を減らす。その結果、税負担が減り、学生ローンの返済額も少なくなるからだ。 「早いうちに税的に有利な口座やシステムに投資すればするほど、あとになって得られる利益が大きくなる」と彼は言う。 デルヴァ=ゴンザレス氏は余ったお金を使ってクレジットカードの借金を返済し、監査の仕事に転職し、給料が増えていった。収入に占める負債の比率は急速に低下した。 数年間、かなりの額を貯蓄および投資に回したことで、2016年には13万2000ドル(約1980万円)の家を買うほどの余裕ができ、毎月1000ドル(約15万円)の住宅ローンを支払った。 デルヴァ=ゴンザレス氏は、ハイチで育ったことが「多くの同僚たちにはない利点になった。何もかもが終わりだと思える状況では、機転を利かせる能力が問われるからだ」と語る。 その年、のちに妻となるドリーン氏に出会い、ふたりは口座をひとつにした。だが、その時点でもデルヴァ=ゴンザレス氏はまだ借金が残っていた。2017年、両者は借金を完済し、ついに純資産がゼロとなった。複数の予算管理アプリを使って支出を抑え、無駄づかいしている分野を特定した。ふたりとも、401(k)とIRAへの拠出額を最大限に増やし、医療貯蓄口座にも数千ドル(数十万円)を投じた。
ミリオネアへの道
副業としてファイナンシャルコーチングを行ないながらお金を慎重に使ったおかげで、ふたりは高給取りだったわけでもないのに、2020年の初頭までに資産を25万ドル(約3750万円)にまで増やせていた(妻はコミュニティ管理者として働いている)。 資産には、彼の母校の近くで買った賃貸物件も含まれており、そこからも収入が着実に得られている。また、いとこがその大学に通うようになったら、そこで暮らすことになる。 デルヴァ=ゴンザレス氏のブログ「ザ・ネイバーフッド・ファイナンス・ガイ(The Neighborhood Finance Guy)」によると、夫妻の純資産は、2021年1月で45万ドル(約6750万円)、2022年1月で65万ドル(約9750万円)、2023年1月で80万ドル(約1億2000万円)、2024年8月には153万ドル(約2億2950万円)を超えていた。 「私は、人々は考えすぎだと思う。みんな、誰も教えてくれない秘密がどこかに存在するとか、すごく頭が良くなければならないなどと考えている」とデルヴァ=ゴンザレス氏は指摘する。 だが、ミリオネアになるために夫妻がやったことといえば、住宅費は収入の30%未満に抑えるなどといった「家計上の原則」に厳格に従っただけだと、デルヴァ=ゴンザレス氏は語る。同氏は、これは給料日から給料日までを何とかやりくりしている多くのアメリカ人にとっては不可能なことかもしれないと前置きしてから、隣人と張り合うことはせず、支出が総収入の25%を上回っている限りは、大きな家を避けることが重要だと主張する。 彼は、社会との交流を損なわない範囲で、高価な買い物や高額なブランチをする機会を避けてきた。それでも、夫妻合わせて過去5年だけで4万ドル(約600万円)以上をAmazonでの買い物に費やしてきた。この出費を彼は、「自分の船に突き刺さる小さなナイフ」と呼ぶ。 経済的にもっと安定したら、仕事を辞めるつもりだ。そして、これまで仕事に費やしてきた時間を取り戻し、旅行をして暮らす。子育て中のアメリカの黒人をサポートしたり、若い起業家の事業を手伝ったりするなど、ボランティアとしても活動するつもりだ。 「今は自分がなりたい自分になる自由、特定の服装に縛られない自由を拡大させているところ」とデルヴァ=ゴンザレス氏は語った。「余計なものや雑音をなくして、自分自身である自由を広げている」
Noah Sheidlower