「物件探しや融資に奔走し」元Jリーガー・永里源気 長男の知的障がいと自閉スペクトラム症をきっかけにデイサービスを開設した第二の人生
── 永里さんが開設された「Athletic club ハートフル」の特色を教えてください。 永里さん:運動療育をメインに、少人数制にしていることが特色です。大人数で1か所にいることが苦手なお子さんや集団での行動がストレスになるお子さんもいるので、1グループを3~5人にして、各グループにつき2~3人の指導員が対応しています。同じ場所に長時間いることが苦手というお子さんも多いので、セッションが計1時間になるように設定しています。
お子さんたちの特性によって合う・合わないがあったり、学年差があったり、学年差があっても運動のレベルが合っているということもあったりするので、様子を見ながら各グループに振りわけて、気持ちよくセッションに臨めるような環境作りを意識しています。不登校のお子さんは個別で見させていただいたり、日曜日は理学療法士さんや作業療法士さんに来ていただいて特別なセッションを行ったりもしています。 ── 保護者同士が情報を共有できる場にもなっているんですよね。
永里さん:はい。厚木に来て今の支援学校に大和が通い始めたとき、バス停には中学部に通う子のお母さんもいれば、高等部に通う子のお母さんもいて。上の学年のお母さんに「大きくなるとどういうことが必要?」とか「どういうことをやっていくの?」とか、先の不安を相談できる機会ってすごくいいなと感じたんです。ハートフルでは、お子さんのその日の様子を保護者の方に直接聞きたいという思いと、セッションが終わったあとに今日の様子をフィードバックしたいという思いから、送迎サービスはやっていなくて。そのぶん、お子さんがセッションを受けている間は、ここの待合室が保護者の方々の情報共有の場になればいいなと思っています。「小学校1~4年生はちょっと大変だけど、高学年になると落ち着いてきますよ」というような自分の経験談をお伝えすることもあります。
■「こんなできるようになったの!?」成長に驚くことも ── 通ってらっしゃるお子さん方を見ていて、大和さんの育児経験があったからこそ共感するところや、同じ診断でもこんなに違うんだなと感じたところはありますか? 永里さん:こんなに違うんだなと感じることのほうが多かったですね。大和は知的障がいの特性のほうが強く出ていたので、ASD(自閉スペクトラム症)も診断に入ってはいるものの、そこまで特性が出ていなかったんです。もちろん、こだわりが強いところが共通していたり、「そういうところあるよね」と共感したりすることもあるんですけど、やっぱりお子さん一人ひとりによってタイプが違っていて。本や教科書に載っているだけじゃない部分がたくさんあるので、日々勉強中です。