シラスの水揚げ量が平年の約3分の1に…“いつもとれる魚がとれない”歴史的不漁の背景に「黒潮大蛇行」【高知発】
高知の名物「シラス」が歴史的な不漁となり価格が高騰している。さらに、スーパーでは冬の鍋を彩る高知沖のブリも品薄に。不漁の背景には海の異変があった。 【画像】2022年から激減…シラスの水揚げ量推移
シラスの水揚げ量過去2番目に少なく
県東部に位置する安芸市の安芸漁港は1年を通してシラス漁が盛んに行われている。しかし、近年の漁にはある異変があるという。ベテラン漁師からは「(シラスは)とれん。ことしは余計とれない。心が折れた。やる気もゼロ」という声が聞かれ、また40年間、シラスを水揚げしてきた女性は「ずーっととれない。(これだけの不漁は)初めて。生活が大変」と語った。 県水産試験場によると、県内の主な漁港4カ所で、2024年に水揚げされたシラスは平年の約3分の1にあたる299.4トン。これは統計をとり始めた1985年以降過去2番目に少なくなった。(1番は1999年231.8トン) 安芸漁港では船を出しても全くとれない日が続く中、燃料の高騰が追い打ちをかける。「漁師が子供を育てていくには、こういう状況が続くと厳しい」と女性は嘆く。
加工販売業者「非常に悪環境」
シラスの不漁により競りの落札価格は高くなり、業者からは「相場が上がって原価が上がるから売れない。スーパーもしんどい。飲食店も」と悲鳴の声が上がっている。 香南市のシラス加工販売業者「土佐角弘海産」は地元の漁港から仕入れたシラスを釜湯でしたり、天日干しにしたりして主に関東や九州に出荷している。しかし、土佐角弘海産の北垣博則社長は「この3年間ずっとシラスが減少している現状。スーパーや小売店に出す量も確保できない。確保できなければ売り上げも上がらない」と話し、資材や運送費の高騰もあり、2023年と2024年の秋に出荷価格の値上げに踏み切った。 北垣社長によると、「シラスはものによっては落札価格が2倍近い金額になっている。インフレの世界になってきているので、スーパーに並べても売れ行きが悪くなる。非常に悪環境になっている」という。 土佐角弘海産で5年前から毎週土曜日に販売しているシラス丼は、どろめ汁がついて500円だったが、段階的に値上げし今は682円となっている。