どうなる? ITエンジニアの採用市場 「リモートワーク減れば転職する」の声も 求められる就業環境とは
ITエンジニアの平均年収は“横ばい”続く
ファインディでは、国内のITエンジニアの平均年収も調査した。22~23年にかけては100万円以上数値が上がっていたが、23~24年にかけてはほぼ横ばいで7月時点では平均681.0万円となった。 この結果について山田CEOは「大手商社や半導体メーカーなどは、ここ10年ぐらいで一気に給与水準が上がっており、ITエンジニアもその恩恵を受けているはず。しかし、実際は上がり幅は意外と大きくないのが特徴として表れている」と指摘する。 この要因は「IT産業自体が国内マーケットに閉じているのが一因ではないか」と山田CEO。年収を上げている大手商社や半導体メーカーは海外中心の事業構造であり、年収水準をさらに上げていくには、企業の海外挑戦が重要になるのではないかと言及した。
ITエンジニアを採用するにはどうすればいいか?
では、ITエンジニアを採用したい企業はどのような戦略をとっていけばいいのか。山田CEOは「注目される企業になっていくことが非常に重要なポイントになる」と話す。直近の具体例として、大規模の資金調達を行う企業が増加傾向にあることを挙げた。 「ライドシェアスタートアップのnewmoや、企業向けソフトウェアのナレッジワーク、スキマバイト事業のタイミーなど。あとはさくらインターネットもガバメントクラウドから生成AIまで事業領域を拡大させ、再認知を得ている。これらの注目を集めている企業に優秀な人材は移動している」(山田CEO) また、ITエンジニアたちが他社に興味を持つケースとしては、実際に転職活動を始めたときが最も多いという。その次点には「勉強やカンファレンス」「記事やSNSなどの発信」で名前を知るケースが続くとしている。このことから、技術的な発信に積極的な企業に対して、ITエンジニアは強い転職意欲を持つ場合が多いと解説している。
生成AI×ITエンジニア 未来はどうなる?
一方、ITエンジニアの仕事にも生成AIの影響が生じている。米Googleのスンダー・ピチャイCEOは2024年度第3四半期の業績発表会見で「Googleで新しく書いたコードの4分の1以上はAIによって生成し、その後エンジニアによってレビューして、承認している」と語っていた。 (関連記事:「Googleの新規コードの4分の1以上はAIが生成」とピチャイCEO) では国内企業ではコード生成にAIをどの程度利用しているのか。山田CEOは「われわれのようなスタートアップになると、AIプログラミング補助ツール『GitHub Copilot』を全社導入している場合もあり、(Googleと)近い状態だと思う。実際に現場でも生成AIを使っており、2~3割ぐらいは効率化できたという声も聞く」と話す。 「一方、大手企業や金融機関などは生成AIを導入をするために、その環境を整えるところが大きなハードルになったり、どのくらい効果があるのか分からないから導入をためらったりというケースがあると思う。そのため国内では、生成AIの利用がマジョリティーになるのは年単位で時間がかかっていくのでは」(山田CEO) とはいえ今後各社は、生成AI導入などITエンジニアの開発環境にさらなる投資をしていくと、ファインディは予想をしている。 「近い将来、エンジニアの主な仕事はコーディングではなくなっているかもしれない」──そんな“インテリジェント開発時代”の到来を見据え、生成AIとITエンジニアが共存する未来を見据えたプロダクト、サービス開発に今後取り組むとファインディは表明。世界で戦える日本企業を増やして、技術立国日本を取り戻したいと意気込みを語った。
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