「辞めたければ辞めてもいい、という態度で…」原晋監督が反省する“監督1年目”の指導法…青学大から“選手への束縛”がなくなった深い理由
「反省しています」監督就任直後の指導法
今でこそ、こうした幅のある考え方ができるようになりましたが、監督就任当初から3、4年目の姿を振り返ると、もっといいやり方があったのではないかと思います。特に、部員との距離感がうまくとれていませんでした。今思えば、もっと部員との距離を縮めて、膝を突き合わせて話し合うべきだったと反省しています。 なかでも、一人ひとりと向き合ってあげればよかったと思うのは、監督就任したばかりの頃です。当時は、1年生だけが強化部指定でスカウトしてきた選手たちでした。 つまり、1年生以外の上級生にとって、陸上部は私が監督に就任するまではただの課外活動だったのです。楽しくクラブ活動していたところに突然、私が現れて「箱根駅伝を目指すぞ」「選手の核になるのは規則正しい生活だ」と急に高い目標を掲げて説明しても、すぐに「わかりました」と気持ちを切り替えることはできなかったと思います。そんな彼らに対して、私は「理解できないヤツは知らない。辞めたければ辞めてもいい」という態度で接していました。そういう過渡期こそ個別にしっかりと向き合って、時間をかけながらこれからの方針を伝えるべきだったと今ならわかります。
必要以上に束縛をしなければ、正しい方向へ動き出す
今、部員に対する時間的な決め事は起床、朝の練習、朝食、午後の練習、夕食、門限、消灯、その程度です。部員同士のミーティングの時間は、自分たちで決めているようです。 組織の中で外してはいけないルールはありますが、必要以上に束縛をしなければ、成長したいという思いが強い人間は、勝手に正しい方向へ動き出すものです。《第1回、第2回も公開中です》
(「Number Ex」原晋 = 文)
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