ロキソニンやアセトアミノフェン…鎮痛剤(痛み止め)の種類や選び方は? 【薬剤師監修】
鎮痛剤はどんな症状に効果がある?
編集部: 頭痛で痛み止めを飲んだことはありますが、腹痛にも効果があるのですか? 大田さん: 腹痛の原因が生理痛であれば、プロスタグランジンの生成により、子宮が収縮し、痛みが起こっているため、ロキソプロフェンなど頭痛にも使用される成分は有効です。 しかし、腹痛の原因が便秘、胃もたれ、食あたりなどである場合は、頭痛に使用されるタイプの痛み止めは効果がない可能性があります。 服用することにより症状を悪化させることもあるので、注意しましょう。腹痛の原因がわからない時は自己判断で薬を服用することはやめてください。 編集部: 頭痛がひどい場合、痛み止めを日常的に飲んでもいいですか? 大田さん: ロキソプロフェンやカロナールは一時的に症状を緩和する効果は期待できますが、自己判断で日常的に飲むことは避けましょう。 NSAIDsの長期服用により胃潰瘍のリスクが上昇する可能性や、薬剤性頭痛を起こすことがあります。頭痛の原因が偏頭痛の場合は治療薬があるので、病院を受診するようにしましょう。 編集部: 腰や足にピリピリとした痛みがある場合はどうでしょう? 大田さん: その場合、神経が傷んで神経伝達に異常が生じている可能性があります。これは「神経障害性疼痛」に分類され、プレガバリンなどの薬剤が選択肢となります。しかし、市販薬では神経伝達を正常にする薬はないので、病院を受診する必要があります。
鎮痛剤の正しい選び方・使い方(量、タイミング)
編集部: たくさん種類のある痛み止めから、どうやって選べばいいですか? 大田さん: 軽い頭痛や関節痛の場合は市販薬でも対応できますが、市販薬を3日程度服用しても症状が改善しない場合は、速やかに病院を受診して自身の症状にあった薬を処方してもらう必要があります。 編集部: 痛み止めでも錠剤、坐薬などがありますが、どういう違いがありますか? 大田さん: 薬の形状が異なると、吸収される部位やスピードが変わってきます。なので、服用する人によって剤形を変えることもあります。例えば、アセトアミノフェンの錠剤と坐薬では、坐薬の方が早く効果が出ます。 また、錠剤や粉薬が飲めない時も、坐薬を選ぶことがあります。麻薬性鎮痛剤に分類される「フェンタニル」には、パッチという剤形もあり、胸、腹、上腕、大腿部に貼付することで鎮痛効果が得られます。 編集部: 痛み止めで気をつけないといけないことはありますか? 大田さん: 1回に飲む薬の量や1日の服用量は必ず守るようにしましょう。1回1錠飲む薬を1回2錠に増やすと効果が2倍になるという訳ではありません。むしろ量を増やすことにより副作用が強く出てしまうことがあります。 編集部: 痛み止めも食後服用になりますか? 大田さん: NSAIDsに分類される痛み止めは胃に負担がかかりやすいので、食後服用です。病院で処方された痛み止めは、効果が持続する時間や副作用を考慮して決められた服用タイミングを指示されるので、必ず守るようにしましょう。 編集部: 最後に、読者へのメッセージをお願いします。 大田さん: 痛み止めは身近な薬の一つであると言えますが、種類が多い上に妊婦や授乳中に注意が必要な薬もあるので安易に服用することは避けましょう。痛みが続くようであれば、速やかに病院を受診してください。