重い、値段が高い…でも大ヒット!“世界で一番お肉がおいしく焼ける”!?フライパン
「おもいのフライパン」には町工場の技が詰まっている。 鋳物の原料には工場などから出る「鉄くず」を再利用。 「愛知県なので自動車関連の会社が多く、その鉄くず」と言う。中でも「おもいのフライパン」はより強度の高い鉄くずを使っている。それを炉に入れ熱すると、溶けて液体状に。温度は1500度に達する。 通常、フライパンは金属板を型で挟む「プレス加工」が多い。一方、鋳物の場合は、溶けた鉄を型に注ぐ「鋳込み(いこみ)」で作る。 「注ぎ方によって品物が変わる」と言うほど難しい職人技だ。一つ一つ職人が形を整えたうえ、特別な方法でもう一度焼き直す。この「焼き入れ」という作業でフライパンの表面が酸化し、膜が張る。この膜によって、塗装なしでも錆びにくく、食材が焦げつきにくくなるのだ。
〇町工場ここまでやるから大ヒット2~肉まで売ってしまいます 「おもいのフライパン」は売り方もユニークだ。量販店には置かず、あえて売る場所を絞っている。愛知・豊田市の「内藤精肉店」はブランド牛が売りの地元の肉好き御用達の店。肉のショーケースの隣には「おもいのフライパン」がズラリ。この店だけで100枚以上売れている。 「肉好き」をターゲットにした戦略はこれだけではない。石川鋳造が始めた「お肉のサブスク」(1万800円~)は、毎月29日の「肉の日」に厳選された肉が届く。フライパンをどんどん使ってもらうための贅沢なサブスクだ。 また、フライパンは焦げつくと買い替える人が多いが、「おもいのフライパン」は一生もの。だから石川鋳造は、長年使い込んで、コゲや汚れがこびりついたフライパンを修復するサービス(1枚1100円)を行っている。 東京・南青山のフレンチレストラン「プレヴナンス」のオーナーシェフ・静井弘貴さんのもとに生まれ変わったフライパンが戻ってきた。 「うれしいですよね。自分でメンテナンスするのは限界がある。相棒みたいなものじゃないですか」(静井さん)