【イラン崩壊を真剣に狙うイスラエル】苦境のイランに勘違いのイスラエル、米国が招いた悲劇
Foreign Policy 誌(電子版)に10月9日付で掲載された、ランド研究所のコーヘンの論説‘Iran’s Terrible, Horrible, Very Bad Year’が、「イランはイスラエルの挑発に対してミサイルで反撃しているが効果を上げていないばかりか、イスラエル側はより真剣にイランの体制の崩壊を考えている。しかし、イランは退くことはなく、イランの直面する状況はますます悪化するだろう」と指摘している。要旨は次の通り。 イランにとり今年は最悪の年となっている。しかし、それはイランが自ら招いたものだ。 恐らく、事態をより悪化させたくないというのがイラン側の望みであろう。4月と10月のイランのミサイル攻撃は、イスラエルに人的、物的損害を与えることに失敗した。もし、そうなっていたらイスラエルの報復はより深刻なものとなったであろう。 イラン側は、よりリスクを取ろうとしているが、超大国米国が後ろ盾にいて軍事的に優位にあり、核武装している極右政権のイスラエルに何百発ものミサイルを発射するのは危険なゲームに他ならない。 イランとしては、ミサイル攻撃は、イスラエルと米国がイランの面子を何回も潰したことに対する抑止力を回復させるために、戦略的に必要な行動と考えたのだろう。しかし、このようなイランの行動が抑止力を回復させたという証拠はない。それどころか、イスラエルのリーダー達は、より大っぴらにイランの体制変更と、より断固としてイランの核開発を破壊すると語るようになっている。
イランにとり最も賢明な戦略は、闇に隠れ、代理勢力の再構築に励み、いつの日か再び戦うことだ。また、イランがここで一歩引けば、中期的にイランの西側との関係改善の可能性が生じるだろうが、そのようなことをイランは望んでいないようだ。むしろ、イラン側は、賭け金を増やそうとしているように見える。 イランが一歩も引かないという姿勢は、米国と西側諸国の対イラン政策に重要な影響を与えている。もし、イランに罰を与えることによりイランを抑止できないのならば、米国と西側諸国は、イランがイスラエルを攻撃し、代理勢力を支援する能力を破壊せざるを得なくなる。 そのためにはイランの軍事能力の大部分を破壊する必要があるので大きな困難が伴う。しかし、もし、イランのイスラム革命体制が、事態をエスカレートさせようとするならば、米国とその同盟国に他の選択肢は無いであろう。かかる事態はイランにとっても恐ろしいことで、来年は、イランにとり事態は一層悪化するだろう。 * * *