こどもの疑問に“マジ回答”「火山を利用して電気を作ることはできませんか?」に専門家が本気で答えたら…
値上げが止まらない電気料金。火山を利用して電気を作ることができれば、限られた資源に頼らなくてもよくなるのでは──? 専門家が、その可能性について解説します。 【画像】地熱資源は、必ずしも大量の電力を使用する大都市や産業地帯の近くにあるわけではない 灼熱の溶岩を吐き出す火山を発電に利用するのは、危険だし当てになりません。いつ噴火するかわからず、溶岩はすぐ冷えてしまうからです。しかし米国を含む多くの国で、火山の熱を利用して発電する方法が編み出されています。それが、地熱発電と呼ばれる方法です。 地熱エネルギーは、地下深くで起こる地球の活動から生まれる熱エネルギーです。こうした活動はほとんどの場合、地表付近の岩石や地下水を温めるだけですが、火山活動が活発な地域では、その熱ははるかに強く、ときには岩石を溶かしてマグマを作り出すほどの超高温になります。 火山は巨大な熱の噴出口のような働きをして、マグマを地表近くに押し上げます。どろどろに溶けた高温の岩の一部はそのまま地表へ噴き出しますが、ほとんどは地下にとどまり、周りの岩石や地下水を熱します。熱せられた水(熱水)が地表まで上がってきたところで、温泉や間欠泉が湧き出すのです。その活動は数千年にわたって続くこともあります。 この地熱エネルギーを発電に利用するには、専門技師の力を借りて、地表近くにマグマが昇ってきている場所を見つけ、マグマに熱せられた岩石層や地下水帯まで届く深い井戸を掘る必要があります。掘られた井戸から地表に噴き出した高温の水蒸気は発電所に送られてタービンを回し、電気が作られます。 電気を作ったあとの蒸気は冷やされ、凝縮されて、再び液体のお湯になります。このお湯はブタンなど、沸点がはるかに低い別の液体の気化に利用され、その蒸気の力で二次発電をおこなう方式もあります。二次発電に使われたあとのお湯は地下にポンプで戻され、再び加熱されます。 地球はつねに熱を生み出しているため、地熱エネルギーはいくらでも再生利用可能な資源です。また地熱発電は石炭、ガス、石油を燃やす火力発電や原子力発電と比べて、地球の気候温暖化の原因となる有害物質や発電で生じるごみ、温室効果ガスの排出がはるかに少ない発電方式でもあります。 地熱エネルギー源は、数十年、あるいはそれ以上の利用が可能です。そして太陽光や風力といったほかの再生可能エネルギー資源と異なり、地熱エネルギーは1年365日、24時間発電に利用することができます。