批判されるテニスツアーの日程過密化についてATP会長が反論!「どの大会に出るかは選手の自由だ」<SMASH>
男子テニスツアーを管轄するATP(男子プロテニス協会)のアンドレア・ガウデンツィ会長(イタリア/51歳)が仏大手メディア『レキップ』のインタビューに回答。その中で近年過酷なツアースケジュールに多くの批判が上がっていることに対して、「どの大会に参加するかは選手が自由に選択できる」と反論コメントを出した。 【画像】大会ではなかなか見られないトッププロの練習やイベント参加の様子 毎年数え切れないほど多くのトーナメントを設けているプロテニスツアー。最近は男女ともに四大大会に次ぐグレードのATP1000(男子)とWTA1000(女子)が、一部の大会を除き従来の1週間から2週間に開催期間が拡張されるなど、選手の負担が増大している印象がある。 さらには忙しいスケジュールの合間を縫ってエキジビションマッチでプレーする機会も増加。すなわち選手たちはずっと休みなしの状況を強いられているのだ。 カルロス・アルカラス(スペイン/世界ランク男子3位)やイガ・シフィオンテク(ポーランド/同女子2位)をはじめ、若手のトッププレーヤーからも“タイトすぎる”ツアーカレンダーに対する非難の声が相次いでいる。そうした中、ガウデンツィ会長はあくまでも選手が自分で考えてスケジュールを組むべきだと持論を展開する。 「サッカーやバスケットボールのように、クラブに雇われているわけではない。テニス選手というのは、自分でスケジュールを決めることができる独立した労働者のようなものだ。ランキングによってプレーすることを強制される大会も中にはあるが、それは四大大会やマスターズ1000シリーズ、ATPファイナルズ(シーズン最終戦)といった最も重要なトーナメントに限定される。マスターズは日程が拡張されたが、新フォーマットで決勝に進んだ場合も、以前のフォーマットより1試合多くなるだけだ。 さらに、ツアー外のエキジビションで頻繁にプレーする選手もいる。これは他のスポーツでは見られないことだが、問題は、ツアーかツアー外のどちらの利益に貢献したいのかということだ。シーズンを短くするとすれば、ATP 250シリーズの数を減らす必要がある。それ以外にできることと言えば、選手たちがエキジビション出場の回数を減らし、より多くの時間を休養に充てることだ」 また、近年は各大会の使用球を統一すべきという声も数多く上がっているが、これについては「各大会でボールメーカーとの契約があり、ATPの場合は協会が選定したボールを使用することになっているから、対応までには時間はかかる」と弁解しつつ、「我々は共通のボールを使用するよう決定した」と回答。ITF(国際テニス連盟)管轄の四大大会でも「昨年ボールの統一に関する決定が下され、2025年から段階的に適用されていく」と報告した。 ガウデンツィ会長のコメントを聞く限り、どうやらボールについてはすでに対応策が講じられているようだが、ツアースケジュールについては現状維持となる可能性が高いように思える。興行的利益など複雑な事情が絡んでいるのは間違いないだろうが、それでも選手の健康や安全がないがしろにされるようなことはあってほしくないものだ。 文●中村光佑