『キングダム 大将軍の帰還』実写日本映画21年ぶりの“興収100億超え”へ、シリーズ最高のヒットスタート!
7月12日から7月14日までの全国映画動員ランキングが発表。山崎賢人が主演を務める「キングダム」シリーズの最終章となる『キングダム 大将軍の帰還』(公開中)が、堂々初登場ナンバーワンを獲得。これは大方の予想・期待通りの結果ではあるが、驚くべきはそのオープニング成績だ。 【写真を見る】5年前の第1作とのオープニング対比は200%超!進化を続ける「キングダム」シリーズが偉業を目指す ■初日から3日間で動員100万人を突破!実写邦画の苦境を吹き飛ばせるのか 全国532館(IMAX:50館、MX4D:13館、4DX:60館、ScreenX:16館、ULTRA4DX:4館、DolbyCInema:9館を含む)で公開を迎えた『キングダム 大将軍の帰還』。初日から3日間で観客動員106万4820人、興行収入16億2860万円と、“動員100万人”の大台をあっさりと突破。これは金・土・日3日間のオープニング興収としては実写日本映画の新記録を樹立する堂々たるもの。 参考までにシリーズの過去作と比較してみると、昨年の夏休みに公開されて最終興収56億円を記録した前作『キングダム 運命の炎』(23)は初日から3日間で動員70万3500人、興収10億5100万円だったので、動員・興収対比はどちらも150%超。第1作の『キングダム』(19)は初日から3日間で動員50万7000人、興収6億9000万円だったので、そこからは倍以上のオープニング成績を叩きだしていることになる。 さらにこの週末は月曜日が「海の日」の祝日だった。祝日を含んだ公開4日間でみると動員は146万7000人、興収は22億円を突破。シリーズ第2作の『キングダム2 遥かなる大地へ』(22)も「海の日」の連休に合わせての公開だったので比較がしやすく、こちらは4日間で動員93万4000人、興収13億7900万円とその差は一目瞭然。シリーズものは新作を重ねるたびに成績を落としやすい傾向があるなかで、この「キングダム」シリーズだけは完全な例外のようだ。 これだけのオープニング成績をあげたとなれば、自ずと“興収100億円”への期待が高まるところ。近年の日本映画はとにかくアニメ映画が強く、実写映画は苦境続き。「キングダム」シリーズの過去3作はそれぞれ公開年の実写日本映画ナンバーワンの成績を収めてはいるが、それでも興収50億円前後が限界。ここ10年でそれを突き抜けた作品は『シン・ゴジラ』(16)と『劇場版 コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』(18)だけだが、それでも興収100億円には届いていない。 日本映画でこれまで興収100億円を突破した作品は全部で19本あるが、そのうち16本がアニメ映画で、実写は『南極物語』(83)と「踊る大捜査線 THE MOVIE」の1作目と2作目のみ。つまり21年間も実写のメガヒット作が出ていないのである。『キングダム 大将軍の帰還』がこの3本に続くことができれば、「キングダム」シリーズは日本映画の歴史に名を残すことになるだろう。 ■『ルックバック』『それいけ!アンパンマン』は連休中も絶好調 完全に『キングダム 大将軍の帰還』一色に染まった今週、ランキングの2位以下は前週の1位から9位までの顔ぶれだけで構成。前週の上位3作品は、それぞれひとつずつ順位を落とす結果に。 2位の『ルックバック』(公開中)は公開3週目も好調をキープ。週末3日間で動員11万5000人、興収1億9600万円と、前週比89%の成績。祝日を含んだ累計成績では動員58万6000人、興収9億9400万円となっており、ヒットの基準となる興収10億円突破も目前。 一方、同じく公開3週目で3位となった『映画 それいけ!アンパンマン ばいきんまんとえほんのルルン』(公開中)は、祝日までの累計成績で動員36万3000人、興収4億5900万円を突破。この大ヒットを記念して7月19日(金)からは、シネ・リーブル池袋にて毎週金曜日に「アンパンマンナイト」の開催が決定している。 普段は作品のターゲット層である乳幼児にあわせて午前中などの早い時間帯の上映回が中心となり、かつ音量小さめ&場内明るめで“映画館デビュー”を応援している「それいけ!アンパンマン」シリーズ。今回の「アンパンマンナイト」では、大人も来場しやすい夜の時間帯に上映回を設定し、通常音量&場内暗転での上映が行われるとのこと。この取り組みが拡大していけば、より鑑賞ターゲットの幅も広がり、さらなる興収アップも期待できそうだ。 そして前週よりワンランクアップの5位にランクインした『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』(公開中)は、公開14週目にして累計成績は動員1080万人、興収154億3000万円を突破。日本歴代興収ランキングでは現在15位で、14位にいる『崖の上のポニョ』(08)の興収155億円までは残りわずか。近日中にまたひとつ順位を上げることだろう。 以下は、1~10位までのランキング(7月12日~7月14日) 1位『キングダム 大将軍の帰還』 2位『ルックバック』 3位『映画 それいけ!アンパンマン ばいきんまんとえほんのルルン』 4位『ディア・ファミリー』 5位『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』 6位『九十歳。何がめでたい』 7位『クワイエット・プレイス:DAY 1』 8位『フェラーリ』 9位『コードギアス 奪還のロゼ 第3幕』 10位『言えない秘密』 今週末は、ミニオンたちの活躍を描くイルミネーション・エンタテインメントの「怪盗グルー」シリーズ最新作『怪盗グルーのミニオン超変身』(7月19日公開)、放送開始20周年を迎えた人気バラエティ番組の劇場版『逃走中 THE MOVIE』(7月19日公開)、「呪怨」シリーズの清水崇監督の最新ホラー『あのコはだぁれ?』(7月19日公開)などが控えている。 ※山崎賢人の「崎」は「たつさき」が正式表記 文/久保田 和馬