広島・新井が語った「金本さんは反骨心の塊」
年俸わずか2000万円で阪神から広島へ8年ぶりに復帰した新井貴浩(38)が16日、広島市内で契約更改を行い、3倍増となる6000万円(金額推定)で一発サイン。背番号も「28」から慣れ親しんだ「25」に戻ることも同時に発表された(「25」は、高橋大樹(21)がつけていたが「50」に変更)。 今季は怪我に苦しみ、左手甲は現在も脱臼したままだが、4番にも座って打率.275、7本、57打点の結果を残した。特に得点圏打率は、チームトップの.311でチームを牽引。来季は通算2000本安打の大記録に残り29本と迫っているが、「今はまだピンとこない。それよりも、1試合1試合全力でやってなんとしても優勝をしたい」と、抱負を語った。 メディアは、広島時代からアニキと慕い、FAで阪神移籍してからもいじられ続けるなど、名師弟コンビだった金本知憲氏が阪神の新監督に就任したことについてのコメントを求めたが、「ノーコメントにして下さい」と、笑いでごまかして答えなかった。 筆者は、答えを避けた金本新監督についての本音を直撃した。新井は「金本さんについては、戦う相手チームの監督となられたわけですから、なかなかコメントすることは難しいですね」と困った顔をした。 ――おそらく新井に対しては、容赦なく死球辞さずでガンガン攻めてくるよ(笑)。 「大変な役割を引き受けられたと思うんです。でも、金本さんは反骨心の塊みたいな人ですから。おそらく、“この野郎”という精神でやってくるでしょう。でも、僕らも選手、チームが一丸となってぶつかっていきますよ」 ――頼もしい。反アニキ宣言だ!
「駒さんもよく知っていると思いますが、金本さんって、ああ見えても繊細な人です。おそらく作戦面においても、その繊細さが随所に現れてくるんじゃないかと予想しています。でも僕らのチームには、野手もピッチャーも若い才能がありブレイクする可能性を秘めた選手がたくさんいます。野手は、今年悔しい経験をしました。ピッチャーもマエケンがいなくなることを前向きに捉えれば、他の選手にはチャンスだし、競争も生まれるでしょう。チームの気持ちは、ひとつになっていると思います」 今季の古巣阪神に対する成績は、打率.258、2本塁打、10打点。ローテーション投手のうち、藤浪にだけは、打率.167と抑え込まれたが、メッセンジャーは、打率.333、能見は、打率.318、1本、2打点、岩田にも、打率.333、2打点という好数字を残してカモにした。最初は、暖かい目で迎えられた甲子園の阪神ファンからも、あまりにも打たれるので、徐々に疎まれ始めるほどだった。 おそらく新井の弱点を知り尽くしている阪神バッテリーには、「ここに投げておけば大丈夫」という油断もあったのだろう。しかし、そのデータを鬼気迫る新井の気持ちが上回った。野球とはそういうものである。来季は、金本新監督が大号令で新井潰しにかかってくるのは間違いない。弟分の新井も、グラウンドに立てば師弟関係抜きで真剣勝負に出る。来季の広島vs阪神が面白くなりそうである。 (文責・駒沢悟/スポーツライター)