0-1で敗戦も、かつての練習場でPKストップなど抜群のパフォーマンス。2年生GK松田駿は失点ゼロで青森山田を勝たせ続け、兄に続く高卒プロへ
[10.13 プレミアリーグEAST第18節 前橋育英高 1-0 青森山田高 前橋育英高校高崎G] 【写真】ジダンとフィーゴに“削られる”日本人に再脚光「すげえ構図」「2人がかりで止めようとしてる」 試合会場の前橋育英高校高崎グラウンドは、前橋FC時代の2年前まで汗を流していたトレーニング施設だった。GK松田駿(2年=前橋FC出身)が、青森山田高(青森)の2年生守護神として地元に帰還。前橋育英高(群馬)もMF石井陽主将(3年)、MF黒沢佑晟(3年)、CB久保遥夢(2年)と前橋FCのOBが先発した中、かつての恩師や旧友たちの前で成長した姿を見せつけた。 前半、DF裏へのボールを増やした前橋育英に対し、松田はPAから飛び出して処理。被シュート1、0-0で前半を終えると、後半19分に得点王争い中のFWオノノジュ慶吏(3年)のPKを「予測していて、駆け引きしながら左に跳ぼうと思っていました」と右手一本で止め切った。 この後も至近距離からのシュートや、ミドルシュートが枠を捉えたものの、松田は次々とセーブする。正木昌宣監督が「やっぱ動けるようになりました。1番は動ける。瞬間瞬間が速くなった」と認める2年生は、以前はまだ身体が重かったという。だが、古川大海GKコーチの指導の下で練習を重ねて足を運べるようになり、予測力も向上した。 その力をかつてのホームグラウンドで発揮。前橋育英は後半、計10本のシュートを放つも、応援団のため息や観衆からの「凄い」という声が漏れ聞こえてくるような展開となった。前橋育英の山田耕介監督も「(ボールを見送る動きなど、このグラウンドでプレーすることに)慣れているな、コイツなと。(松田に)やられるかなと思いました」と相手GKから1点を取ることの難しさを感じたという。 松田自身も「やっぱり2年前までずっと練習してたんで、懐かしいゴールとかで。このピッチもほんとにやりやすい環境だったんで、今日はやりやすい展開には持っていけたと思います」と振り返る。 だが、「PK止めて、ここで流れ変えられたらいいなと思ってたんですけど、その後すぐやられたんで、やっぱ足りなかったっていうか、自分がもっとそこでやっとけば良かったと思っています」。PKストップ後のピンチで持ちこたえていたものの、後半37分に痛恨の失点。CK後の混戦からオノノジュに右足シュートをねじ込まれた。 松田は「あそこで自分がもう1本止めてチームに流れを持ってこないといけないし、自分がもっと攻撃に貢献してチャンスが生み出せるようにプレーをしないといけなかったっていう風に思っています」と唇を噛んだ。失点後も松田はサイドからのラストパスに思い切ってアタックするなど好守を続けたが、青森山田は1点をもぎ取ることができず、0-1で敗戦。前期の対戦で1-1だっただけに、松田は強く白星を欲していたものの、それを勝ち取ることはできなかった。 試合後、恩師や旧友たちと言葉をかわしていた松田は、より無失点にこだわることを誓った。「やっぱり山田に行って、『育英倒そう』っていう気持ちで今回も来て。でも、そこで勝ち切れなくて、それじゃ『何で行ったんだ』っていう風に思ってしまうので……。自分がちょっと止めただけでもチームは負けてるし、ほんとにその1点の重みっていうところで、そこで自分が止めてれば0-0で勝ち点を持って帰れたので、最後の部分でゼロにこだわるっていう部分でもっと努力して、次の試合から意識していかないといけないと思います」。目標は前橋育英時代に選手権日本一に輝き、高卒でG大阪入りした兄・DF松田陸(現千葉)同様、青森山田から直接プロ入りすることだ。 「やっぱり(兄の姿を)ずっと見てて、高卒で行けるっていう凄さだったりっていうのを目の前で見てるんで。難しいんですけど、その存在が『プロに行きたい』っていう気持ちを大きくしてくれています。(自分も高校進学時から)大学よりも、まず高校で活躍して、プロのスカウトに来てもらうっていう努力をして、目指してきました」 DF背後の対応など課題があるものの、鋭いセービングや局面を変える1本のキックに注目の185cmGK。今後のプレミアリーグも、選手権も貴重なアピールの機会になる。インターハイは矢板中央高(栃木)との3回戦でPK戦勝利の立て役者になるなど、大会優秀選手に選出された。だが、チームは準々決勝で敗戦。“常勝軍団”の守護神は全国タイトル獲得を掲げている。 「今後はまずはもっとゼロにこだわる。プレミアも勝って、優勝を狙い行って、選手権はインターハイ悔しい思いをしたんで、 自分が勝たせるっていう部分で自分もアピールして。チームを勝たせて、スカウトとかをもらって、いいところに行きたいと思います」。無失点と青森山田が勝つことにこだわり、自身の価値を高める。