「もしも夫と私の立場が逆だったら」倉田真由美さんが明かす、夫を失った苦しみや悲しみの向き合い方
漫画家の倉田真由美さんの夫で映画プロデューサーの叶井俊太郎さん。すい臓がんにより帰らぬ人となったのは、2024年2月16日のこと。冬から春、夏へと季節が巡り――。夫を失った苦しみや悲しみとどう向き合っていくべきなのか、いま想うこととは? 【画像】夏の海辺、白い砂浜を歩く叶井俊太郎さん「夫にもう一度暑い季節を経験させてあげたかったな…」
執筆・イラスト/倉田真由美さん
漫画家。2児の母。“くらたま”の愛称で多くのメディアでコメンテーターとしても活躍中。一橋大学卒業後『だめんず・うぉ~か~』で脚光を浴び、多くの雑誌やメディアで漫画やエッセイを手がける。お笑い芸人マッハスピード豪速球のさかまきさん原作の介護がテーマの漫画『お尻ふきます!!』(KADOKAWA)ほか著書多数。 夫の叶井俊太郎さんとのエピソードを描いたコミック『夫のすい臓がんが判明するまで: すい臓がんになった夫との暮らし Kindle版』 『夫の日常 食べ物編【1】: すい臓がんになった夫との暮らし』は現在Amazonで無料で公開中。
一度も泣かずに過ごせた日はない
夫がいなくなってそろそろ4か月が経ちます。 一度も泣かずに過ごせた日は、まだありません。1日のうち何度か、夫のことを思い出してメソメソしてしまいます。今もこれを書きながら、いろいろ思い出して泣いてしまいます。涙腺がすっかり壊れてしまったみたいです。 9年前、子供の頃世界で一番好きな人だった祖母を亡くした時も、一昨年父を亡くした時も、ここまで悲しみを引っ張ることはありませんでした。葬儀では涙を流したけど、それ以降は穏やかな気持ちで故人を想うことができていました。 夫のことだけが、違うんです。強く後悔していることがあるわけでもないのに、もう泣いても仕方ないのに、すぐに胸が苦しくなって涙が流れます。「涙って熱いんだな」というのをはっきりと自覚したのも、夫の死後、あまりにも何度も泣くようになってからです。夫を失って、私の生きる世界はこれまでと別物になってしまいました。 私自身、感受性も考え方も以前とは違っています。例えば音楽、夫がいた頃までと同じようには聞けなくなりました。多くの曲が、夫のことを歌っているように聞こえてしまうんです。