地球の核に謎の「ドーナツ型構造」を発見、最新の地震波分析
ドーナツ型構造が双極子磁場の形成に関連?
核内の密度変化と温度差が、地球磁場を発生させる強力な対流とダイナモ効果の原動力となっているのかもしれない。赤道付近の低速度帯は、一種のレンズとして機能し、磁力線を集中させて磁北と磁南を持つ双極子磁場を作り出している可能性がある。 「地球磁場の動力学は、科学界の強い関心が向けられている分野なので、今回の結果によって地球および他の惑星の磁場に関するさらなる研究が促進される可能性がある」とトカルチッチは結論付けている。 地表全域を継続的に監視している地震観測所と各地で収集される観測データを処理できるコンピューターのネットワークのおかげで、直接観測が不可能な地球内部に対する見方がここ数十年で劇的に変化した。「最内核」の存在が確認されたのは、つい2021年のことだ。地球の最中心部は高圧下にあるため、この核は鉄でできた巨大な結晶になっている可能性がある。マントル内には、大陸サイズの岩塊が漂っている。1970年代の地震波調査で最初に発見されたが、その正体についてはまだ地質学的に解明されていない。地球のマントルの最上層から採取した初のサンプルを、海底下1.3kmから回収することに成功したのは、つい今年の8月のことだ。これでも、地球の半径のわずか0.021%にすぎない。 科学誌Science Advancesに掲載された今回の論文「Seismic low-velocity equatorial torus in the Earth’s outer core: Evidence from the late–coda correlation wavefield」の全文はオンラインで参照できる。追加資料とインタビューはANUから提供された。
David Bressan