新鋭アーティスト、杉山日向子が新作で伝える「今の自分を肯定すること」の大切さ
WWD:今回の展示では新作も多く描かれていますね。
杉山:改めて、初期の作品から新作までを展示してみると、新作は全体的に彩度が低めになっていますね。自分の気持ちの変化もあって、色使いやポーズも変わっているのはすごく感じました。自分で描いたくせに、あまり自分のことって分かんないですよね。
WWD:色使いや衣装を含めて、全体的にシンプルになっていると感じました。
杉山:先ほども言ったんですけど、最初に自画像を描き始めた時は本当に尖っていて、「私はやることやってるんだよ。お前は何をやっているだ」みたいな怒りの気持ちが強くて。今はその気持ちも薄れてきたので、だから全体的に作品も落ち着いてきたのかなって思います。
WWD:杉山さんの作品はポーズにどこか違和感があって、面白いです。
杉山:まず自分でポーズを決めて、写真を撮って、それをもとに絵を描き始めるんですけど、ポーズを考える時は、体や影の形がかっこよくなるように、というのは心掛けています。でも、撮影中はずっと同じポーズをしなくちゃいけないので、結構腰とか痛くなるんですよね。それを何パターンか撮影して、撮ったものをパズルを組み合わせる感じで描いていくんですが、その組み合わせを考えるのが一番難しいです。
WWD:撮った写真でまずはコラージュを作ったりするんですか?
杉山:作らないですね。だから失敗する時もあります。絵を描き始めた時に、「なんか微妙かも」と思った時はうまくいかないことが多くて、一応最後まで描くんですけど、やっぱり納得がいかずに没にしています。最初にハマったと思ったら、結構順調に描けるんですけど。
WWD:撮影前にコンセプトは決めるんですか?
杉山:「今回はこの服を着て撮影しよう」とか「今回はヘルメットをかぶろう」とかは何となくワンテーマを決めて、そこからどう面白くするか、モノボケみたいな感じで考えていきます。だから「こんなことをやってる人がいて面白いな」ぐらいで見てもらえればいいかな。