新鋭アーティスト、杉山日向子が新作で伝える「今の自分を肯定すること」の大切さ
でも、今回の展示のステートメントにも書いたのですが、今はもう少し人に寄り添いたいというか、SNSって超ルッキズムが強い投稿がいっぱいあって、そういう投稿を見ているうちに、「きれいでも、かわいいでも、美しいでも、自分の理想を求めるのは自由だけど、自分が自分で満足できればいいよね」っていう気持ちが大きくなって。私も自画像を描いているのに、あまり自分には自信がないんですが、それでも私の作品を見て、「こういう人もいるんだ、 面白いね」とか「(人の意見を気にせず)自分は自分でいいよね」とか、思ってくれれば、それがうれしいです。
あと、誰かを描く時って、いろんなことを考慮しないといけないんですが、自分だと気を使わなくていいし、しかも無料だしってことで、なんとなく自画像を描き始めたのもあります。でも、初期の作品って、自画像といいつつ、少し加工していて、ちゃんと自分を描いていないんですよね。
WWD:NHK大河ドラマ「麒麟がくる」の背景を描いたのは、自画像を描き始める前ですか?
杉山:そうです。まだ大学に入ったばっかりのころで、迷走している時期でした。私が浪人時代に描いていた絵を、アートディレクションを担当した奥山由之さんが見て、選んでくれました。それまで奥山さんとは面識がなく、急に依頼が来たので、びっくりしましたね。時間もなかったので、依頼が来て、次の日にはもう打ち合わせをして、すぐ制作に入ってという感じで、依頼から完成まで1ヵ月もなかったと思います。
「モノボケみたいな感じで考えてます」 WWD:今回の展示タイトル「Mirror Play」はどのように決めたんですか?
杉山:「Mirror Play」は、今回のキービジュアルにも使っている作品の作品名なのですが、私の作風が“鏡遊び”みたいなのと、あまり聞いたこと言葉だったので、ちょっとスラングっぽくて面白いかなと思って、「Mirror Play」にしました。