40代、50代が「食べ順」を変えると血糖値はどうなる? 血糖値にいい食べ方は「ベジ・ファースト」だけじゃなかった!【40代、50代は血糖値に要注意⑤】
【1日目】毎朝、雑穀米(60gが定番)を、おかずと一緒に食べていた(グラフ[E])。 メニュー:ベーコンエッグ&サラダ、納豆、ほうれん草のおひたし、ぬか漬け、味噌汁(キャベツ・油揚げ・みょうが・えのきなど)、雑穀米(グルテンフリー雑穀+黒米)
【2日目】同じ量の雑穀米を最後に食べることにした(グラフ[F])。 メニュー:ベーコンエッグ&サラダ+しめじとアスパラのグリル、ほうれん草のおひたし、オクラのっけ納豆、ぬか漬け、レバーとしょうがのさっと煮、雑穀米(前日と同じ)、味噌汁(葉物いろいろ・豆腐・油揚げ)
[E]ご飯とおかず同時 [F]ご飯は最後 自称「おかず食い」なHさんは、雑穀米はかなり少なめにしている。それでも、今回のモニタリングで、ほぼ毎朝、血糖値スパイクが起きていることがわかった。1日目も急上昇している。 2日目は、レバーの煮つけが加わったりして前日より全体量が多め。それにもかかわらず、血糖値のピークはかなり低めに抑えられた!
血糖値スパイク防止のために、「カーボ・ラスト」「ほぼ糖質のメニューは避ける」「よく嚙んで食べる」
「食べる順番の研究は世界各国、もちろん国内でもされていて、効果が高いことがわかっています。唯一、血糖値を上げる糖質、いわゆる炭水化物を食事の最初や前半に食べてしまうと、血糖値は急上昇し、血糖値を下げるインスリンの分泌が間に合わないため、高血糖になりやすいんです。 糖質(カーボ)とは、米類(ご飯)、小麦粉(パン・パスタ・うどん・そば・ラーメン)、いも類、砂糖や砂糖の入った食品(菓子類)など。先に何を食べてもいいので、これらの糖質を最後に食べることに意味があります。 まったく同じ食事でも、糖質以外を先に食べ、15~30分後に(効果が出る時間には個人差があります)糖質を食べるようにすれば、血糖値の上昇が緩やかになるわけです。3人の例は、ずばりそれに当てはまっていましたね!」 ところで、おかずを食べた後にごはんやパンという順番だと、食べづらくないだろうか? 「おかずを少しだけ残しておく、ふりかけを用意するなど、工夫するしかないですね。または、ご飯だけだと食べづらいということは、それまで食べていたご飯やパンの量が多すぎたのかもしれませんよ。50代ともなると、すい臓の反応が悪くなって、若い頃のように素早くインスリンを出せなくなっています。以前と同じだけ主食を食べるという食生活を見直してもいいでしょう。 『丼物だったらどうするの?』『うどんやそばは?』『パスタだったら?』と聞かれることもありますが、空腹時に“ほぼ糖質”のメニューをいきなり食べたら、血糖値は面白いほど急上昇します。血糖値が高めの人や血糖値スパイクが気になる人は、なるべく避けたほうがいいですね」 ほかに食べ方の注意点は? 「“早食い”は血糖値を上げます! これは覚えておいてください。よく嚙んで食べましょう、と言われますが、本当に正しいんです。慌ただしい朝食だって、嚙んで嚙んで味わって時間をかけて食べる。そうすると、同じメニューでも、急いで食べた時より血糖値の上昇がゆるやかになりますよ」 ※血糖値の変動には個人差があり、モニターの結果はあくまで一例です。同じ食材をとっても人によって、また食べるタイミングなどによって変化します。
【教えてくれたのは】 山村 聡さん 糖尿病内科医。九州大学医学部卒業。東京ミッドタウンクリニックで診療するかたわら、糖尿病啓発・予防のため血糖値に関するSNS発信を行っている。豊富な診療経験をもとに、一人一人のライフスタイルに合わせた血糖値改善、ダイエットプログラムの開発にかかわるなど予防と医療の架け橋として活動中。自らの体を実験台にしてさまざまな食材の血糖値を測定するYouTubeチャンネル「やさしい内科医のY's TV」が人気。登録者数は7万人超。 取材・原文/蓮見則子