フランス、緊急計画で債券市場を沈静化-バルニエ首相が赤字対策説明
(ブルームバーグ): フランスのバルニエ首相は1日、就任後初の政策演説を行い、投資家からの大きな反発を回避しつつ、フランス財政を立て直すために新政権に必要な時間を稼いだ。
新首相は議会での演説で、財政赤字を国内総生産(GDP)の3%以内に抑えるという目標の達成時期を2029年まで2年間遅らせると述べた。歳出削減と富裕層や大企業への増税を組み合わせた赤字削減計画の概要を説明した。
フランス財政の立て直しはバルニエ氏にとっての主要課題だが、同氏の中道派連合には野党の協調による政権打倒を阻止するだけの議席数がないため、首相の座は不安定だ。
投資家はここ数カ月、フランス資産を投げ売りしており、フランス債のリスクプレミアムはユーロ圏危機以来の高水準に近づいている。
バルニエ氏は「真のリスクはフランスの莫大な財政赤字だ。われわれが注意を怠れば、それは我が国を破滅の縁に立たせるだろう」と語った。
同氏の発言後、フランス国債の利回りは若干上昇したものの、市場全体で利回りが上昇する中、この日のフランス国債利回りは大幅に低い水準で推移した。リスクの指標であるドイツ債との10年物利回りスプレッドは、1ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)縮小して78bpとなった。これは、ここ数日のピークは82bpだった。
今年の赤字はGDPの6%を上回る見通しで、何の対策も講じなければ状況はさらに悪化するだろうとバルニエ氏は述べた。欧州連合(EU)はすでに、過剰な負債と赤字を抱えていると判断された国に対してより厳しい財政規律を強制する特別手続きをフランスに適用している。
財政規律の第一歩としてバルニエ氏は、来年度の赤字をGDPの5%にまで削減する方針を示した。そのうち3分の2は歳出削減、残りは富裕層や「利益が大きい」大企業への増税で賄うという。
目標達成のためにおよそ400億ユーロ(約6兆4000億円)の歳出削減が必要かとの問いに対し、アルマンド財務相はRTLラジオで、「その程度」だと述べた。詳細は明らかにしなかった。