ヤマハがミナレリにもたらしたもの。日本とイタリア企業の体質の違いとは
ベナッティさんはファンティックがミナレリを買収したことで、ヤマハの良さとファンティックの良さが混じり合ったのだと続けました。 「ミナレリとファンティックが提携したとき、ふたつの世界が融合したのです。ミナレリには日本企業のスタイルがあり、ファンティックはもっとダイナミックで、柔軟性がありました。今、私たちはこの世界で生き残るために、このふたつのことを混ぜ合わせながら、うまくやっていこうとしています。おかしなものもあれば、悪いものもありますよ。でも、物事は両面の顔を持っているものです。(ヤマハは)信頼性があるけど、堅い。ファンティックは柔軟性があるけど、信頼性に欠けることもあります」 さらに、ミナレリのプラント・マネージャー、アレッサンドロ・バルビエールさんが「オーナーがヤマハからファンティックになったとき、何が変わったのでしょうか?」という質問に答えてくれました。 「長所はスピードで、ファンティックとの仕事ではスピーディに改善を進めることができます」と、バルビエールさんは言います。つまり、ヤマハ時代はあまりスピーディではなかったということでしょう。 そしてファンティックがオーナーになったことで得たメリットがもうひとつありました。 「ファンティックは、市場に近いです。彼らは市場から良いフィードバックを得ています。そして彼らはすぐに改善を適用できるのです。ヤマハの頃よりも市場に近いところにいます」 「ヤマハのときは、私たちは市場と直接的ではなかったのです。私たちはエンジンを供給する立場でしたから。バイクはフランスのMBKで作られていました。ダイレクトではなかったのです」 現在、ミナレリはファクトリー1でエンジンを組み立て、ファクトリー2でバイクを組み立てています。ファンティックに買収される前は、ミナレリのファクトリーはエンジンを生産するだけでした。しかしバイクを生産するようになったことで、イタリアでバイクを生産し、イタリアの市場に流通させることができるようになったのです。 「今、ファンティックになってからは、とてもダイレクトです。エンジンもバイクもここで作られていますからね。どんな問題もあっという間に市場に適用できるんですよ」 なるほど、そういう意味でもスピーディになったと言えるのでしょう。