<歴史に挑戦・24センバツ明豊>/下 低反発バットへの対応 ミート徹底、足からめ /大分
チーム力の底上げと選手の実力を見極めるために実施する週末の紅白戦では、打撃が売りの明豊らしく、多くの選手が快音を響かせている。 【写真で見る歓喜の瞬間】歴代のセンバツ覇者たち 使っているのは、今回のセンバツから採用される新基準の金属バットだ。最大直径が67ミリ未満から64ミリ未満に小さくなった一方、金属自体の厚みが増して低反発になったため、打球の飛距離が出にくくなったという。 川崎絢平監督は「以前のバットは差し込まれても(金属の反発力で)飛ばせたが、今は打者が力を込められる位置にバットがあり、かつボールを芯で捉えないと飛ばない」と解説する。 明豊は元々、球を芯で捉える感覚を養うため、飛距離の出にくい木製バットを打撃練習に使っていた。このため、川崎監督は「練習内容は変わらない。スイング力と、投手の配球を予測する力が必要」と語る。 選手の認識も同じで、石田智能(2年)は「木製と新しいバットとの感覚の違いは少ない。スイングの強さにこだわって、打球のスピードで(相手守備の)間を抜きたい」と話す。主軸を打つ船見侑良(同)も「(ボールが当たる瞬間の)インパクトに力を入れている。意識の違いで(スイングは)変えられる」とミートの徹底を心がける。 一方でヒットが出にくくなることも想定し、「打てない時の次の引き出し」(川崎監督)として走塁の強化にも取り組んできた。 ポイントを指導するのは、野球部OBで、社会人野球の日本製紙石巻でも活躍した篠川拓也部長だ。木製バットを使う社会人野球では攻撃に足を絡める機会が多く、技術や経験が豊富だからだ。 安定的な出塁で攻撃をけん引する2番の高木真心(しん)(同)は、盗塁の際のリードの取り方について指導を受けた。「セーフになるギリギリの歩数が分かったことで、盗塁の成功率が上がった。次の塁を狙う意識が高くなった」と手応えを感じている。 低反発バットの採用で全チームが対応を迫られる中、川崎監督は「バットの変わるタイミングでたまたま足を使える選手がそろった」という状況を前向きにとらえ、豪快に打ち勝つ「明豊らしさ」を維持しつつ、足や小技を使うことにも意識を向けている。(敬称略)