還流問題、自民と立民が火花…衆院予算委で野田氏「再調査を」首相「新事実ない」
自民党派閥の不正還流問題を巡り、石破首相(党総裁)と立憲民主党の野田代表らが5日の衆院予算委員会で火花を散らした。参院政治倫理審査会では、自民議員が弁明する方向で調整が進められており、早期の幕引きを図りたい自民と、来年夏の参院選での争点化を狙う立民との間で対立が強まっている。 【図解】石破首相と野田氏・大西氏の主なやり取り
参考人招致要求
「新たな事実が出れば、党として調査することもあるが、そんな認識を私は持っていない」
首相は、野田氏が事件について再調査を求めたのに対し、厳しい表情でこう述べて拒否した。
旧安倍派が派閥の政治資金パーティー収入を所属議員に還流させ、議員が政治資金収支報告書に記載していなかった問題では、会長の安倍元首相が存命中、中止を指示したのにもかかわらず、再開された経緯などが不明なままだ。
政治資金規正法違反(虚偽記入)で有罪が確定した会計責任者は裁判で、「ある幹部」から要望を受け、幹部協議で継続が決まったと証言した。野田氏は「これは新しい事実だ。(衆院政倫審で弁明した)旧安倍派幹部の皆さんはうそをついていた可能性がある」と迫った。
首相は「大変な権力と強制力を持つ検察が捜査し、(旧安倍派幹部の)犯罪は出てこなかった。党として調べることも限界がある」と譲らなかったが、野田氏は会計責任者の予算委への参考人招致を求めた。
立民は、自民が少数与党に陥ったことを受け、関係者の委員会招致を積極的に提案し、自民をけん制する戦略とみられる。
悩みの種
自民は、参院政倫審に出席意向を示している自民議員27人に弁明させ、問題に一定の区切りを付けたい考えだが、このうち23人が非公開の審査を希望していることが新たな悩みの種となっている。
自民幹部は「非公開では、説明責任を果たしたことにならない」と当惑する。還流問題を巡り、これまで計10人が出席し、行われた衆参両院の政倫審はすべてテレビ中継を含めた全面公開で行われた。
ただ、政倫審のやり取りは原則非公開で、本人の意向が尊重されるため、公開を強制するのも難しいのが実情だ。
立民の大西健介氏はこの日の衆院予算委で、「総裁として、公開で弁明するように指示すればいいではないか」と指摘した。これに対し、首相は「議員がどのように考えて非公開を望んだのかは存じ上げない」としつつ、「公開するかしないかは審査会の判断だ」と述べるにとどめた。