全米OPを制したデシャンボーの飛ばし力は、地面反力を活用する左足にあり。アマでもできる!
今は亡き憧れの選手との縁
パインハーストNo.2はデシャンボーにとって特別な場所でもある。彼が子供の頃から憧れていたペイン・スチュワートが1999年に全米オープンを制したのもこの会場だった。 デシャンボーはペイン・スチュワートと同じサザン・メソジスト大学(SMU)に進学し、以前かぶっていたハンチング帽はスチュワートのトレードマークだったものだ。ちなみに今はLIVとの契約でチームロゴが入ったキャップをかぶらなければならないそう。 表彰式では数年前に亡くなった父に優勝を報告したあと「ペイン・スチュワートにもこの勝利を捧げます」と感慨深げに語った。 スチュワートが2度目の全米オープン勝利を挙げたパインハーストNo.2で、同じようにデシャンボーが2つ目の全米オープンタイトルを手にしたのは何かの縁を感じる。 今回の優勝でデシャンボーの変貌ぶりを指摘する論調もあった。 もともとデシャンボーはこだわりが強く、わが道を行く選手だった。アイアンの長さがすべて同じであることは有名で、飛距離を伸ばすために大胆な肉体改造をしたことでも知られる。 「マッドサイエンティスト」と呼ばれたこともあり、独自の理論を貫きとおすことから、誤解されやすい面があった。 筆者はデシャンボーとは2017年からの付き合いだが、その頃から練習中にギャラリーと話をしたり、観客の子供を呼び寄せてサイン入りグローブをプレゼントしたりするなど、ファンサービスは他の選手よりも積極的に行っていた印象がある。 デシャンボーに対して気難しい印象があるかもしれないが、試合会場では遠くにいても向こうからあいさつをしてくれる気さくな性格で、スイングに関する話をしてもいつも丁寧に受け答えをしてくれていた。 確かに議論好きで、コーチや研究者と、とことん話し合いをしていたが、それは上達したいという意欲によるもので、その熱意や知識欲にはいつも驚かされた。 最新のティーチングを研究し、自らに取り入れる取捨選択ができるクレバーさと、飽くなき探究心が今回の全米オープンの勝利を引き寄せたに違いない。