「Apple Music」上陸 日本でストリーミング型音楽配信は普及する?
月額980円(ファミリー会員は1480円)で、音楽が“聞き放題”になるサービス「Apple Music」がスタートしました。iPodやitunes、iPhoneで新しいデジタル音楽の楽しみ方を提示してきたAppleの始める新音楽サービスとして大きな話題になっています。ダウンロード販売型の「iTunes Store」と異なり、「Apple Music」は月額制でライブラリにある楽曲をどれでも好きなだけ聞くことができます。
「AWA」「LINE MUSIC」も先行して開始
“聴き放題”型の音楽サービスはストリーミングと言われる形式を採用しており、ユーザーが聞きたい曲や選曲リストを選び再生操作をすると、楽曲ごとにサーバーからダウンロードしながら視聴できます。一度ダウンロードした楽曲は端末に保存され、再度のダウンロードなしで聞くこともできます。また、選曲者のおすすめなどが放送されるラジオ型配信も同時に行われています。 Apple Musicに先駆けて、日本発のサービスである「AWA(アワ)」、「LINE MUSIC」のサービスも始まっています。 「AWA(アワ)」は、サービス開始1週間でアプリが100万ダウンロードを突破しました。また、「LINE MUSIC」は、巨大コミュニケーションツール「LINE」の知名度を活かし、サービス開始12日でアプリが300万ダウンロードを突破。どちらのサービスも勢いのあるスタートを切っています。 この2サービスに加え、すでに聴き放題サービスを実施しているNTTドコモが提供する「dヒッツ powered by レコチョク」やauの「うたパス」、台湾初でアジアを中心に1000万ユーザーを抱える「KKBOX」など、複数の既存サービスもあわせて、今年から“聴き放題”型の音楽サービスがしのぎをけずることになります。
それぞれのサービスの特色は?
「Apple Music」に「AWA(アワ)」、「LINE MUSIC」を実際に使ってみると、機能的にはどのサービスもひと通り共通して実装しており、決定的な機能的優劣はありません。使い勝手の印象では、「AWA(アワ)」は洋楽を最新音楽チャートに素早くアクセスして聞いたり選曲リストをユーザー同士で共有して楽しみやすく、「LINE MUSIC」は邦楽のヒット曲の配信に強く「LINE」でつながる友達にお勧めしやすく設計されています。対して「Apple Music」ではユーザーの視聴傾向から次々と新しい曲を勧めてくる“for you”機能の精度に驚きを感じました。 「AWA(アワ)」と「LINE MUSIC」は「Apple Music」の月額980円と同価格帯でのサービスに価格設定されています。しかし、300円から600円程度の機能制限版や学割の低価格プランを両者ともに揃えて、Apple Musicへの価格面での対抗と、学生層などライトユーザーへの普及を狙っています。 現在は、洋楽ヒットチャートが簡単にチェックできる「AWA(アワ)」と、同じく洋楽の豊富なライブラリとiPhoneなどの音楽プレーヤーと紐付いた「Apple Music」が音楽マニアの支持をうけ、邦楽が充実しリコメンドも邦楽ヒットを前面に推す「LINE MUSIC」が一般音楽ユーザーに大きくアピールしています。特に「LINE MUSIC」は、「LINE」でのおすすめ連携で友達と同じ曲を聞くことができるコミュニケーション機能も豊富です。日本の邦楽の需要の高さから考えると、「LINE MUSIC」がユーザー数で一歩リードする情勢です。 「Apple Music」は、「itunes store」と比べてもまだ邦楽のラインナップが弱く、邦楽のライブラリ充実が喫緊の課題になってくるように感じます。