「Apple Music」上陸 日本でストリーミング型音楽配信は普及する?
ストリーミング型が続々と始まる理由は?
急激に普及しつつあるストリーミング配信の音楽サービスですが、実は世界にはすでに「Spotify」や「Deezer」、「Google Play Music」、「Rdio」などグローバルに展開しているストリーミング配信サービスがあります。 日本では、歌詞が英語である洋楽を好むユーザー層が比較的少ないこと、邦楽の権利者が分散しており権利交渉が煩雑であることから、なかなか普及が進んでこなかった現実があります。日本の権利者も、CDを売ることを第一として配信サービスに積極的な動きを見せてきませんでした。この「多数いる権利者」と、「足並みの揃わないストリーミング音楽配信サービスへの対応」が参入障壁になって、音楽配信サービスの普及に時間がかかっていました。 しかし、世界規模で毎年減少しつづけるCD販売額と、拡大するストリーミング音楽配信サービスのシェアから権利者も利益率のよいCD販売だけにこだわることはできなくなってきました。2014年のIFPI(国際レコード産業連盟)の調査によると、世界の音楽産業のなかでCDなどのパッケージ売上は11.7%の減少、ダウンロード配信は8%減少、定額制ストリーミングサービスは39%増加する結果が報告され、今後の音楽ビジネスの潮流はストリーミング配信サービスに方向性が見えてきたからです。 また、この潮流からAppleもダウンロード販売型の「iTunes Store」から、シェアを拡大し続けるストリーミング型音楽配信サービスへの対応を迫られることになり、「Apple Music」の発表にいたったと考えられます。日本発のストリーミング配信サービスの相次ぐ発表と「Apple Music」のサービスインは世界的な音楽産業の潮流から導き出された結果といえるでしょう。
音楽ファンの視聴習慣が変わる?
サービスインと同時に日本上陸を果たした「Apple Music」と、それを迎え撃つ形になった「AWA(アワ)」と「LINE MUSIC」。そのサービスが日本で勝利するのかはまだわかりませんが、ストリーミング配信サービスが一気に音楽ファンに普及していくのは間違いありません。 ストリーミング配信の普及が進むにつれて、これまでのCDを購入したり楽曲をダウンロード購入して聞く音楽ファンの視聴習慣も大きく変わることが予想されます。これまでのお気に入りのアーティストを中心に音楽体験を作っていった視聴習慣から、ジャンルごとのヒットやおすすめ選曲リストを中心にどんどん流れていく楽曲を耳にしながら気になったものをピックアップしていく視聴習慣への転換は楽曲をピックアップする選曲者の注目度が増し、従来のアーティストや音楽業界のあり方そのものを変えていくかもしれません。 (タブロイド・久保内信行)