34歳年収1200万円商社マンが明かす「インド人の部下」のワークライフバランス…頻繁に有給を取る「意外なワケ」
家事はメイドに外注する
ーーインドでは共働き世帯ってどれくらいいるんですか? 具体的な統計とかは分からないんですけど、特に教育レベルが高い女性が、仕事で活躍しやすい環境がインドにはあるんです。なので中間層の方々は、僕が話を聞く限り、共働き世帯が多いような感じはします。共働き世帯はメイドやベビーシッターを雇うなど、家事を外注してます。つまりお金の力で、日々の生活で足りない部分を補ってるんです。 ーーお話を聞いてると、インド人は時間とお金の使い方が上手ですよね。ちゃんとワークライフバランスを実現している。この手の話題になると日本では「制度改革」ばかりに関心が集まりますが、個人的には「意識改革」の方が重要なのかなって。 インド人は大事な子供や家のことを誰かに助けてもらうことに、抵抗感のない方が多いんですよ。ここは日本人との大きな違いですね。共働きで稼いだお金は、最優先で子供の教育に投資している話をよく聞きます。頭のいい私立の学校に行かせようと、みんな惜しみなく教育にお金を使ってます。 ーー教育への投資、素晴らしい。インド経済はこれからも伸びてきそうですね。 んー、そこはどうですかね。今でこそ「人口ボーナスの力」で国全体では経済成長しているインドですが、これは近い内に限界がくると言われてて……所得格差や教育格差の問題も深刻だったり、本当に優秀な人は海外に行ってしまったり、課題は山積みです。これは僕個人の考えですけど、もしインド人が日本人と同じような働き方ができるなら、たぶん今以上に経済成長してるんじゃないかなって。
飲みニケーションは意外と重要
ーー仕事終わりに職場の同僚と飲んだりはするのですか? 3ヶ月に1回くらいは行ってますかね。インド人ってエモーショナルな部分があって、心をつかむと一生懸命働いてくれるんです。だから飲みニケーションの回数をゼロにはできない。 ただし気をつけなきゃいけないのが、僕と飲んだことを社内で自慢したりする社員もいて……、インド人はヒエラルキーを重視する傾向があるので、飲む人が特定の社員ばかりに偏るとちょっとマズイ。 最近は、誰でも参加していいよってスタンスで、会社の経費でオフィシャルの飲み会にしてます。まあ、僕と一緒に飲んだことを絶対にしゃべらない、親しい職場の仲間とコッソリ飲むこともありますけどね。ちなみにその時のお会計は全部僕が出します。役職が上の人がお会計を負担するのが、インド社会の常識なんです。 * * * ご覧のようにしっかりワークライフバランスをとっているインド人。つづく記事〈インドに「ブラック企業」は存在するのか、「労基署」との意外な関係は?…日本人には信じがたい「インド人の働く環境」〉では少し視野を広げて、インド人の「働く環境」について話を聞く。
佐藤 大輝(ライター)