いくら稼いで、いくら使ってる? イギリス王室のお財布事情を調査
生活費危機が叫ばれるイギリスだが、特権階級のトップに座する英王室の生活&仕事にかかる維持費はいくらぐらいだろう? 2024年7月23日に発表されたバッキンガム宮殿の年次決算書を参考にしつつ、表には出てこない私的費用にも注目。日本の読者にとっても興味深いトピックに絞って英王室の懐具合を探ってみた。 【写真】チャールズ国王がパパの表情を見せたレアなスナップ集 ※日本円の金額はウエブサイト掲載当時のものを、2024年8月23日現在のレートに換算。
そもそもイギリスの王様はどうやって稼いでる?
王室助成金“ソブリン・グラント” イギリス王室は毎年王室助成金“ソブリン・グラント”を政府から支払われている。このお金は税金を財源とし、政府の管理する王室財産(クラウン・エステート)からの収入に連動して金額は決定されている。王室の住居の維持費、人件費、旅行や公式訪問、公務、公式の歓待の費用の支払いにはこの助成金を使用することになっている。 立憲君主制のイギリスにおいて、イギリス国王およびそれに連なる王位継承者たちは「君臨すれども統治せず」、すなわち政治権力は持たず、イギリス王室として存在することが彼らの役割となる。そのため、公私を完全に分けることは難しい。 2023/24年度のソブリン・グラントは8,630万ポンド(約165億3,573万円)と報告されている。
ソブリン・グラント以外にも収入源はある?
私的に自由に使ってもOK! 莫大な公領からの収入 国王はそのほかに公費と私費の両方の収入源としてランカスター公領と呼ばれる私有地を持っている。ランカスター公領にはランカシャーやヨークシャーなどの地域、ロンドン市内の不動産、1万8000ヘクタールの土地などが含まれ、年間で約2,000万ポンド(約38億3,215万円)の利益を生み出している。 また、ウィリアム皇太子はコーンウォール公爵位をチャールズ国王から受け継いだことで、コーンウォール公領の恩恵を受ける立場に。2023/24年度には主にイングランド南西部の土地を有する公領での賃貸料と投資から2,360万ポンド(約45億2,193万円)の余剰収入を得ている。 これらの公領からの収入をチャールズ国王やウィリアム皇太子は個人的に受け取って、自由に使用することができる(ただし、財産の売却による利益を受け取ることはできない)。