消息不明のマレーシア機 現在の捜査状況はどうなっているのか?
3月8日にマレーシア航空機の消息が分からなくなってから2カ月が経った。航空史上最大のミステリーと言われるこの問題。日本ではマスコミ報道も減っているようだが、オーストラリア沖で行われている捜索活動は今どうなっているのか。 クアラルンプール空港を北京に向けて北に飛び立ったマレーシア航空370便は3月8日、離陸直後に消息不明になった。当初はマレーシア沖の南シナ海で捜索が行われたが手がかりは見つからなかった。その後のレーダーの解析から、同機は何らかの理由で、離陸後西に進んでからインド洋東部を南下した可能性が高まった。 残りの燃料から推算して、西オーストラリア州沖のインド洋南東部に墜落したとの線が濃くなった。各国が参加する捜索活動は3月下旬からオーストラリアのパースに拠点を移した。オーストラリア政府によると、4月末までにオーストラリアとニュージーランド、英国、米国、中国、日本、韓国、マレーシアの軍用機など19機、民間機10機が334回、約3,000時間にわたって空からの捜索を行った。オーストラリア、中国、英国の船舶10隻も海上の捜索にあたった。活動は悪天候のためたびたび中断したが、捜索海域は4月末までに450万平方キロメートルに及んだ。 当初は各国の人工衛星が洋上に多くの浮遊物を撮影したほか、4月に入って消息不明機のフライトレコーダーが発信した可能性のある微弱な信号を探知したとの報告も相次いだ。このため、墜落機の発見は近いとの期待が膨らんだ。しかし、浮遊物は漁船などが捨てたゴミだったことが分かった。墜落後約1カ月で電池が切れるとされるフライトレコーダーの信号も探知されなくなった。 4月初めには米国の最新鋭のドローン(無人)潜水艇「ブルーフィン21」も投入し、海底に捜索の網を広げた。しかし、墜落機発見につながる証拠は、5月初めの時点で1つも見つかっていない。 ■海上捜索は断念、自衛隊も撤収 徒労感がつのる捜索活動。オーストラリア人6人を含む乗客乗員239人の人命が失われた可能性があるとはいえ、活動を統括するオーストラリア政府としては莫大な財政負担がのしかかる捜索を手がかりのないままいつまでも続けられない。 オーストラリアのアボット首相は4月28日、捜索活動の縮小を発表した。首相は「可能な限り捜索は続ける」としながらも、機体の破片が今も海上に浮いている可能性は低いため、航空機による空からの捜索活動を打ち切った。オーストラリアの調査船「オーシャンシールド」が運用する無人潜水艇による海底の捜索に注力し、参加国もオーストラリア、中国、マレーシアの3カ国のみとなった。