消息不明のマレーシア機 現在の捜査状況はどうなっているのか?
これを受けて、防衛省は同日、自衛隊機による捜索活動を終了したと発表した。派遣部隊は活動拠点の西オーストラリア州ピアース基地を撤収した。自衛隊の哨戒機「P-3C」2機は、オーストラリア沖のインド洋で合計32回の捜索活動に参加していた。 自衛隊は3月11日のマレーシア政府の要請を受けて部隊を派遣、3月21日からは捜索拠点をオーストラリアに移していた。自衛隊の活動については、マレーシアのナジブ首相とオーストラリアのアボット首相がともに謝意を表明している。 ■人類にとって海底は未知の世界 マレーシア機が離陸直後に通信を断ち、航路を逸脱した理由は何か。ミステリーは深まるばかりだが、別の疑問も浮かび上がってくる。ハイテク機器を装備した軍用機や艦船を運用し、最新鋭のドローン潜水艇まで投入して、なぜ手がかりが1つも見つからないのか。 最大の要因は、地球表面積の約7割を占める海の中にまだ未知の部分が多すぎるからだ。現時点で機体が沈んでいると予想されているのは、南北700キロ、東西80キロの5万6,000平方キロメートルの広大な海域。ドローン潜水艇が4月末までに捜索した海底の広さは400平方キロメートルとそのわずかな部分に過ぎない。 海底の地形も分からないことばかりだ。オーストラリアの公共放送ABCによると、オーストラリアの排他的経済水域(EEZ=領土から370キロ以内)の面積は世界3番目に広いが、海図が作成されているのは全体の約12%に過ぎないという。捜索海域は西オーストラリア州の中心都市パースから西へ約1,850キロの公海で、海図はほとんどない。 陸地と同じく海底は一様に平坦ではなく、険しい山もあれば深い谷もある。陸地を捜索するのと同様に、海の底に沈んだ航空機や船を探すには海の地形を把握する必要がある。つまり、ドローン潜水艇による捜索は、地図のない道をゆっくりと手探りで進んでいるようなものなのだ。 陸上ならレーダーも使えるし衛星写真で数メートル単位の解析ができる。だが、21世紀の最新の科学技術をもってしても、海の中は電波も届かないし目視も効かない。潜水艇とソナー(音響探知)による探査しか手段はない。