“学び”での、「自分を成長させたい」思いと、「学習者に寄り沿う」大切さ
● 授業参加者たちはさまざまな関係性を持っている ――KUPIの授業には、学びのサポーター役として一般学生が出席していますね。また、「HRオンライン」の見学時には社会人の参加もありました。そうした、彼ら彼女たちの、KUPI学生との関わり合い方、「学び」の共有方法を教えてください。 神戸大学の通常の学生は、3通りの方法でKUPIに関わっています。 1つめは、メンター――言うなれば、お世話係のお兄さん、お姉さん役として、です。メンター学生には、KUPI学生たちの学びをサポートする役割を担ってもらっています。授業時間中はKUPI学生の学びを見守り、必要に応じて声をかけたり、相談に乗ったりします。授業終了後の振り返りでは、メンター学生が中心になって、KUPI学生が授業の中身を思い起こしたり、新しい問いをもったりするセッションを行っています。また、KUPI学生たちが帰宅した後も、メンター学生だけの振り返りの時間を持ち、個々のKUPI学生の様子や課題を共有しています。 2つめに、一緒に授業を受ける一般学生としての関わり方があります。この学生たちには、KUPI学生をサポートすることよりも、自分自身の学びや気づきにフォーカスしてもらっています。最初の年(2019年度)は、私から「KUPI学生のサポートはメンター学生に任せて、あなたたちは自分の学びに集中してください」と伝えましたが、そうなると、KUPI学生と一般学生との関係がギクシャクして、お互いにフラストレーションがたまってしまうようでした。そこで、2年目からは自分の学びにフォーカスするものの、KUPI学生への自然なサポートもしてもらうようにしました。 3つめは、ボランティア、あるいは、KUPI学生の友だちとしての授業参加です。メンターでも受講生でもないけれども、KUPIの取り組みに関心を持つ人がいます。今年度も、大学院生などが出入りしてくれています。例えば、リカレント教育を大学院で学んでいる公務員は大学と雇用契約を結ぶことができないので、ボランティアとしての参加となります。そうした、メンターにも受講生にもなりにくい人がボランティアとしてKUPIを楽しんでくれていますが、授業以外の場所でKUPI学生と友だちになったことでKUPIにボランティアとして参加するようになった学生もいます。KUPIには、課外活動として、神戸大学の学生たちとワークキャンプを体験するという任意のプログラムもあります。このプログラムに参加することなどで、KUPI学生と仲よくなる神戸大学の学生が、KUPI以外にも生まれるのです。 ――KUPI学生は、大学で学ぶ多様な人たちと接点をもっているのですね。 神戸大学の学生がKUPI学生に関わる方法が複数あることで、KUPI学生はKUPIに参加することでさまざまな関係性を経験することができています。サポートを必要とするとき、学び合うとき、恋バナ(恋愛話)をするとき、一緒に活動するとき――それぞれで異なる関係性が生まれているようです。神戸大学の学生にとっても、KUPI学生との関わり方を、自分の状況に応じて決めることができるのは、メリットであるはず。それぞれの立場によって、感じること、学ぶことも異なるのではないかと思います。去年はメンター学生だったけど、今年は一般学生として授業を受講していて、来年はボランティアとしてKUPI学生に関わる予定という学生もいます。