教師で芸人「タカタ先生」数学嫌い克服するコツ 計算ドリルとドリフ好きが高じて二刀流に
算数とアートを掛け合わせたT3パズルの魅力
――タカタ先生は、数学×アートのSTEAM教育活動を提供する「日本テセレーションデザイン協会」が考案した「T3(ティースリーパズル)」を使った子ども向けのワークショップ講師としても活動されているそうですね。 数年前、数学好きが集まる交流会で、日本テセレーションデザイン協会会長の荒木義明さんと出会い、お互い子どもたちに楽しく算数・数学を伝えることをテーマに活動していることから意気投合しまして。「お笑いの力で図形の面白さを知ってもらおう」と、2023年夏からT3パズルを使ったワークショップに講師として呼んでいただいています。 T3パズルは、表裏で柄の異なる正三角形の単一ピースをたくさん敷きつめて模様を描く図形パズルで、お子さんから高齢の方まで幅広く楽しむことができます。子ども向けのワークショップは小学生の参加が多いため、荒木さんと膝をつき合わせながら、子どもたちにより楽しんでもらえるよう毎回プログラムを考えています。 皆でピースを組み合わせながら、順列、組み合わせ、線対称、点対称も学べるんですよね。低学年の子は線対称、点対称という言葉は知らないけれど、パズルを楽しみながら、その概念を理解することもできます。 ――遊びの延長で、学びのベースとなるような力が育まれる要素があるのですね。 T3パズルはシンプルで自由度が高く、多くの子どもたちは、机にT3パズルを置いておくとこちらから何も言わずともパズルにさわり始め、夢中になって取り組むことが多いです。算数・数学とアートを掛け合わせた教材として非常にすぐれていると思います。ワークショップが終わっても「まだやりたい!」と集中し続ける子も少なくありません。 そんな子どもたちを見ていると、パズルで楽しむこと、遊び切ることで、数学的な思考だけでなく、やり切る力、根気、集中力などあらゆる学びの土台となるような力が養われることを実感しています。 ――算数・数学の苦手意識の克服は、子どもの将来にどんな影響を与えると思いますか? 有名なマーケターさんが「数学を学び続けることは脳の筋トレにつながる」とおっしゃっていましたが、その通りだと思います。 問題の意味を自分なりに咀嚼して論理を組み立て、正解を導き出す。間違えても、どうして間違えたかをしっかり振り返り、修正してまたチャレンジする。数学を頑張ると、「粘れば答えは出る」という信念のようなものも身に付くんですよね。 社会に出てからも因数分解や微分積分に触れる人はほとんどいないと思いますが、学生時代の「脳の筋トレ」が、大人になってからさまざまな社会課題に対して論理的に推測し、説得力のある答えを根気よく導き出す力につながると思います。 数学の得意・不得意とその人の将来の年収には相関関係があり、「数学が得意な人は年収が高い傾向にある」ともいわれています。次代を担う子どもたちのためにも、数学教師芸人としてお笑いをふんだんにまじえながら、算数・数学嫌いをなくす活動に邁進していきたいですね。 (企画・文:長島ともこ、注記のない写真:タカタ先生提供)
東洋経済education × ICT編集部