教師で芸人「タカタ先生」数学嫌い克服するコツ 計算ドリルとドリフ好きが高じて二刀流に
YouTube動画では、授業者の「動き」や「前振り」で工夫を
――YouTube動画制作において、視聴する子どもたちに理解を深めてもらうために工夫していること、大切にしていることを教えてください。 デジタルネイティブの子どもたちは、良い悪いは別にして、短い時間でテンポよく構成されるTikTokなどの動画をあびるように見ています。 そんな子どもたちに飽きずに集中してもらえるよう、高めのテンション、子どもたちが理解できる範囲でちょっと早口で話すことを心がけています。授業者である僕の動きも、左右だけでなく前後に動いたり時には飛び跳ねたり。観る人をひきつける工夫を施すことを常に意識しています。 それから、「前振り」ですね。例えば、評判のレストランに行ったとき、席にすわった途端いきなり料理を出されたら、おいしく味わえないですよね。お店の雰囲気やウエイターさんの笑顔、おもてなしがあってはじめて「おいしい」「楽しい」となるじゃないですか。 授業は基本的に、子どもたちが未知のものについて伝えるものですが、冒頭から知らないことをいきなり話されても受け取りづらいもの。子どもたちがすでに知っていることを最初に出してそれと比較したり、並べたりしながら新しいことを伝えていく、「既知」と「未知」を結びつけることを意識しています。単発の知識は抜け落ちやすいですが、知識をつなぎ合わせていくとそれが網目になって、こぼれ落ちにくくなりますから。 ――そのような工夫は、学校の先生方も応用できそうですね。 そうですね。あとは、先生が自分自身のあり方を見つめ、子どもたちは自分のことをどう見ているのか、子どもたちにどう思われたいのかを明確にすることが大切だと思います。 僕は、お笑い芸人としても活動しています。そのため、子どもたちには「面白い算数の先生」だと思ってもらいたいと考え、九九メガネをかけて授業を行っています。九九メガネをかける“変身”は、子どもたちに「何か面白い算数のことを教えてくれるのかな」という期待感を与え、くだらないダジャレにも笑ってもらいながら授業を楽しんでもらえるきっかけとなります。 同じ言葉でも、先生自身のあり方が伝われば、子どもたちに響きやすくなるのではないでしょうか。