<リオ五輪速報>柔道男子90kgでベイカー茉秋が金メダル
リオ五輪の男子柔道90kg級の決勝が10日(日本時間11日)、現地のカリオカアリーナで行われ、ベイカー茉秋(21、東海大)がバルラム・リパルテリアニ(ジョージア)を下し金メダルを獲得した。日本柔道界が以前の86kg級も含めて、ずっと勝てなかった“未開の階級”に初の金メダルをもたらした。 上背はリパルテリアニに劣るベイカーだが積極的に攻める。奥襟をとって大内、大外と仕掛けていく。2分過ぎには大内刈りで有効をとった。あせった相手が出てくるが、冷静に対処。残り1分で指導を受けたが耐え続け、優勢勝ちした。 決勝までオール1本勝ちで進んだ。初戦となる2回戦ではマルク・オーデンタール(ドイツ)を背負い落としで一本勝ち、3回戦はアレクサンダル・クコリ(セルビア)を谷落としから横四方固めの合わせ技で一本。準々決勝では、アレクサンドル・イディア(フランス)を小外刈りから、横四方固めの合わせ技一本勝ちで、準決勝へ。チェン・シュンチャオ(中国)との準決勝は、試合終了直前に指導を受けて、絶対絶命だったが、4分19秒に大内刈りで倒して有効を取ると、そこから袈裟固めに入り1本勝ちで決勝へ進出した。 ベイカーは、アメリカ人の父親と日本人の母、由果さんとの間に生まれた。柔道を始めた小学校の頃に両親が離婚。母親が苦労しながらベイカーを育てた。体重を増やすなど課題があったが、母の協力もあって強くなれた。ベイカーにとって、その母親に感謝の思いを伝える悲願の金メダルとなった。 試合後、ベイカーはフラッシュインタビューに笑顔で答えた。 「嬉しいです。今日の戦いというか、これが小さい頃からの夢。井上監督(井上康生)が、(シドニー五輪)オリンピックチャンピオンになったのを見て(柔道を)始めたので、それを達成できてよかったです。井上監督からは、一番オーラがあると言われていた。それが結果に出て良かったです。まだ実感がないのですが、すごく嬉しいです。重圧というか、ずっとオリンピックチャンピオンになることだけを夢みて、4年間、柔道に取り組んできたので、やっと夢がかなって良かったです」 21歳の若者らしい爽やかな笑顔だった。