『薄い金属板で水を切る』ゾーイトップブレードが持つ魔力の秘密【輝け個性派ブレードルアーズ】
Zマンの「チャターベイト」が全米を席巻する以前から、ルアーデザイナーたちは知恵を絞り、工夫を凝らしながら多彩な「ブレードルアー」をフィールドに送り出してきた。当たりハズレも激しいけれど、10年後のスタンダードになりそうなアイデアが光るアイテムも登場している。もちろんそれは日本でも同様。個性派ブレード系ルアーを手掛けた日本のビルダーたちを紹介していこう。 【画像】個性派ルアー《ゾーイトップブレード&濱虫》のスペックと価格
語り手:濱田禎二(はまだ・ていじ)
T.H.タックル代表。天才肌のルアーデザイナーとして知られ、「ゾーイ」シリーズなどほかに類を見ないアイテムを数多くリリース。JBワールド戦での優勝経験もあり、現在もJBマスターズに
「水を切る」というアクションの意味
チャターの一種を作ろうと思ったわけではないんです。 「薄い金属の板で水を切る」アクションが出せるトップウォーターを作りたい、と考えたのがきっかけでした。クローラー系の羽根やハイパークランクのリップも「薄い金属の板で水を切る」タイプですよね。 単にブレードをぶら下げるのではなく、平面でしっかり水を受けて、キレのある動きで水を切っていく。この「キレ」も重要だと思っています。 ゆっくり左右に振れているだけの物体は、バスからすると「これはいつでも食えるから別にいいや」という存在なんじゃないかと。一方で、ブレードが左右にキレッキレの往復運動をしていると、思わずハッと反応してしまうタイミングが生まれる。なんとなくの感覚でしか言えないんですけど、そんな気がしています。 ただ、チャター系のブレードをルアーの下側に配置する構造には、実はかなり無理があるんです。土台であるボディーが安定していないと、すぐに動きが破綻して泳がなくなる。 たまたまゾーイに付けて横浮きにしてみたところ、扁平なボディーがブレードを押さえ込む働きをしてくれました。お尻にボリュームのあるシリコンスカートがあるのも大事で、形状との相乗効果でうまくいった。 どんな形状でもボディーをどんどん大きくすればアクションは安定しますが、それだとルアー全体のなかで「ブレード」の存在感が相対的に下がってしまう。それはこのルアーの意図ではなかったんです。 基本的な使い方は、動きが破綻しない範囲でスローに巻くだけ。風がなければロッドを立てて、ラインをたるませた状態でリトリーブしてください。移動距離を押さえて深めのレンジからもバスを呼びやすいので、低水温期にも比較的強いタイプだと思います。 なぜ「薄い金属の板で水を切る」と釣れるのか……ですか? はっきりした答えはないのですが、小魚は泳ぐときに薄いヒレで水を切って泳いでますよね。それに通じるなにかが、もしかすると関係しているのかもしれません。