「月の半分以上は休み」という夢のような職場…疲れ果てた中高年にこそ最適な「タクシードライバー」の働き方
月の半分以上は休み
Kさんの目に真っ先に飛び込んだのがタクシーの勤務体系であった。「自分の時間も確保できながら収入もしっかり確保できる」そんな理由からKさんはタクシー業界に飛び込んだ。 タクシーの最大の魅力といったら独特の勤務体系であろう。月11~13日勤務、隔日勤務である。勤務日の翌日は明番であるが実質は休み。その明番と月6~8日ある休日を合わせると月の半分以上は休みとなる。だからといって特別他業種に比べて労働時間が短いわけではない。1日で2日分をまとめて勤務するのだ。「何だ大変じゃないか」と思う人も多いだろうが、実はそうでもない。 Kさんの1日は、朝6時30分に会社に出勤し、7時の朝礼、点呼を受けて出車する。営業場所は自分の慣れた地域。Kさんにとってはストレスフリーで仕事ができる。 Kさんがする隔日勤務は、法律で3時間以上の休憩が義務付けられている。休憩の取り方は自由だ。細かい時間で刻んで取る人、2~3時間と一気に取る人、最低3時間取らなければならないのでそれ以上取ってもよい。休憩の内容も睡眠を取る人もいれば、親の病院の付き添いや子供の行事など休憩時間を使い対応している人もいる。 Kさんは、明日のライブに備えて、日が明けて午前2時頃に会社へ帰庫。会社によってはノルマをクリアすればいつ帰っていいというところもある。実質労働時間は15時間。ちょっと長め残業だと思えば我慢できる。何せ翌日は休みなのだから。
タクシーは夢を後押しする土壌がある
Kさんは、前職に比べ時間に余裕が出来たことによって、気持ちにも余裕が出てきて昔の夢であったサックス奏者を再び目指した。今では時折ジャズBARでサックスを披露する。ギャラも発生することもあり、曲がりなりにもプロのサックス奏者となった。もちろんサックスだけでは食べていけないが、そこはタクシーの収入で補える。 Kさんのような二足の草鞋を履く人はタクシー業界には多くいる。また、独立開業を目指す人、俳優や声優を目指す人など「かつての夢をもう一度」を取り戻そうとする人も多い。 タクシー会社の中には、ドライバーの夢を後押しするところもある。勤務時間やシフト、休みも融通してくれる。もちろん休日の使い方は自由だ。釣りやテニスなど趣味に使う人、親の介護にと時間の使い方はまちまちだ。タクシードライバーには、「何かを得るためには何かを捨てなければならない」という考えは必要ない。