「月の半分以上は休み」という夢のような職場…疲れ果てた中高年にこそ最適な「タクシードライバー」の働き方
中高年世代で働きながら少しでも後悔のない人生を歩める職業はないものか。筆者は前編記事〈50代からの転職、じつは「タクシードライバー」がおすすめ…現役ドライバーが明かす「意外な魅力」〉で、その一つの答えとしてタクシードライバーをおすすめした。タクシードライバーには、煩わしい人間関係、業務の引き継ぎ、運転免許以外の特別なスキルなどが必要ない「ナイナイ尽くし」の業種の良さがある。 【写真】「送料無料」がドライバーも宅配便会社も苦しめる…改めて問う「送料」の価値 本稿では中小メーカーの営業職からタクシードライバーに転身したKさん(56歳、仮名)のエピソードを紹介しつつ、タクシードライバーのさらなる魅力に迫る。
仕事で疲れ果てていた男を救った一言
あるジャズのライブに招待されて行ってきた。Kさん(56)が、年季の入ったサックスで悦に入った演奏する姿を見るとジャズに造詣がない筆者でも聴き入ってしまう。 Kさんはサックス奏者であるが、タクシードライバーでもある。以前は中小メーカーの営業職に就いていた。働き方改革もあって多少は改善されたとしても、まだまだ全ての会社がそうとも限らない。残業や休日出勤もあり、疲れ果てて好きなサックスもろくにできない。というよりやる気が起きない程に疲弊していた。住宅ローンは残っているものも、子供も手が離れ、そこまでガムシャラにならなくてもよかった。この生活から抜け出したいがきっかけも度胸もない。変化を極端に嫌い惰性の毎日を過ごしていた。 そんなある日、Kさんの近所にニートのように家にいる人がいた。挨拶を交わす程度の人であり、それほど深い付き合いをする人ではない。くたびれ果てているKさんを見て、その近所の人がKさんとは対照的な笑顔で声をかけてきた。 「毎日辛そうだね。タクシーやりなよ」 その一言だけを言い残し、家へと入っていった。Kさんはその人が何を言いたいのか分からなかったが、とりあえずタクシーという言葉をスマホで検索してみることにした。すると、その上位にくるそのほとんどが、タクシードライバー求人に関するもの。いかに人手不足の業界であるか、どれだけ人気のない職業なのか。興味半分でページを開いてみたが、知らず知らずのうちに業務内容に引き込まれていった。