糖尿病や高血圧、30秒の動画撮影だけで高精度判定…「これからの医療にはAIが不可欠に」
アステラス製薬では24年9月、AIを活用して創出した新薬候補が初期段階の臨床試験に入った。独自のAIとロボット技術を駆使して、従来2年程度かかる候補化合物の選定を、7か月で終えることができたという。
人間の経験と勘で新薬候補のたんぱく質などを見つけることが限界に達しつつあることもAI活用の背景にある。24年のノーベル化学賞に、たんぱく質の構造をAIで予測する技術の開発者が選ばれたのも象徴的だ。
AIの医療応用に詳しい中村祐輔・医薬基盤・健康・栄養研究所(大阪府)理事長は「これからの医療にはAIが不可欠になる。小規模な診療所まで一気に普及させる仕掛けが求められる」と指摘する。
AIは進化の途上にある。医療者がAIのミスに気づかず、患者の命が脅かされるリスクもある。「AIの精度に限界があることを医師や患者が学び、上手な使い方を考えていくことも必要だ」と中村氏は話す。