「今になって自分がもらえなかった“働くママ”へのフォローをするのはしんどい」投稿に共感の声 独身・子なしは自己責任?「業務をカバーした分の対価がほしい」“分断”を生まないためには
とはいえ、朝生氏は「育児休業法が1991年に成立して以降、育休をカバーする人の不満は連綿としてあっただろう。ただ、調査した2019年時点ではないことにされるような空気があった。最近の手当支給の動きは、男性育休が一般化してから、つまり男性が当事者になってから始まったのはモヤッとする部分がある」と疑問を呈する。 これにテレビ朝日の田中萌アナウンサーは、「子どもを産みたいから仕事をセーブするか、仕事をバリバリやりたいから子どもを諦めるか。その2択を迫られるのは、今の時代も同じだ」と考察。「私は今子どもがいないので、『仕事を回してほしい』と思うが、裏を返せば子どもがいたらこの仕事量はこなせない。結局誰かに頼る必要があると思うと、ますます出産に消極的な気持ちになってしまう」と明かした。
朝生氏は、男女雇用機会均等法が施行された1986年前後に働き始めた「均等法第一世代」の立場から、「その構図は変わっていない」と同意する。「平成16年(2004年)版男女共同参画白書で、第一世代が今どうしているかを調査していたが、働き続けている人は少なかった。その中の半数以上は結婚をしていなく、7割以上は子どもがいない。働き続けられた理由として『結婚しなかったから』『子どもを持たなかったから』が挙げられていた」。 子どものいない人々は、どのような支援を求めているのか。朝生氏が2020年に行った調査では、「業務をカバーした分の対価を上げてほしい」「全社員がフレックス制度を活用できるように」「業務をカバーした分の評価を上げてほしい」といった意見が出た。 えねさんは「ありがとうの一言で救われる」と話すものの、「金銭的な支援など、それなりの対価が欲しい。それで納得できる人もいるだろう」とした。
■独身・子なしは自己責任? 子持ちからの“不快な経験”も
最近では、子どものいる親を皮肉る“子持ち様”なる単語も生まれている。フリーアナウンサーの国山ハセンは「反対に『独身貴族』『子なし貴族』という言葉もある。自らの選択であり、自己責任だとも言われる中で、カテゴライズすることでギスギスを生んでしまう」と指摘。 タレントの山崎怜奈は「『自分が選べなかった人生』を生きている人に対する“ざらり”とした感覚は昔からあったが、それがSNSで可視化されただけではないか。そのタイミングに子育て政策が絡んだが、『分担して背負っている』という声はずっとあったはずだ」との見方を示す。 朝生氏が行った、子どもがいないことで受けた「不快な経験」の調査(母数88人、いずれも複数回答)では、「子どもはいかに素晴らしいかを聞かされた」が54人、「子どもがいない原因を追究された」が37人、「子どもはいかに大変かを聞かされた」が35人。また、「不快な経験」にどんな行動をとったか聞くと、「何もしなかった」が44人、「仕事のモチベーションが落ちた」が28人、「誰にも相談できなかった」が12人と続いた。