シミは部位ごとに原因が違うって本当? それぞれのケア方法を医師に聞く
顔や体の至るところに出現するシミ。シミがあるだけで実年齢より上に見られるなど、悩んでいる女性も多いのでは? 【イラスト解説】「色素沈着」の原因や予防法や洗顔・スキンケアの注意点 シミを目立たなくするためには、適切なケアが重要ですが、実は、シミは部位ごとに原因やケア方法が異なります。オジスキンクリニックの吉原先生に詳しく教えてもらいました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
部位ごとのシミの違いとは? 紫外線のほかに遺伝も関係があるの?
編集部: 顔だけでなく、手など全身にシミができることがありますが、それぞれ原因は異なるのですか? 吉原先生: はい。シミと一口にいっても実はさまざまな種類があります。最も一般的なシミは「老人性色素斑」といい、加齢や紫外線ダメージで肌のターンオーバーが乱れ、メラニン色素が過剰に沈着することで生じます。 編集部: 老人性色素斑はどこにできることが多いのですか? 吉原先生: 主に紫外線が当たる場所に出現するため、顔や手にみられることが多いとされています。場合によっては背中の上部やすねなどに見られることもあります。 編集部: そのほかにはどのようなシミがあるのですか? 吉原先生: 雀卵斑(じゃくらんはん)というタイプのシミがあります。これは「そばかす」とも呼ばれ、鼻を中心にして左右対称に薄茶色の色素斑が出現します。顔だけでなく、背中、肩、腕など露出する部分にできやすいとされています。 編集部: そばかすも紫外線が原因ですか? 吉原先生: はい。紫外線のほか遺伝も関係しているとされています。まぶたの周囲や頬に多く見られ、3歳ころから出現し、思春期にさらに目立つようになります。また、妊娠により濃くなるといわれています。
発症する年代によって見分けることも アジアの女性に多く出現するシミって何?
編集部: そのほかにはどのようなシミがありますか? 吉原先生: 後天性メラノサイトーシス(ADM)というシミがあり、これは皮膚の深い部分(真皮)に真皮メラノサイトが増生する疾患のことをいいます。頬の骨エリアに左右対称にできることが多く、額や鼻、まぶたにできることもあります。 編集部: その原因はなんですか? 吉原先生: 原因はまだ明らかにされていませんが、遺伝、紫外線、ホルモンバランスの影響などさまざまな要素が関わっていると考えられます。 通常はシミが存在しない、皮膚の深い部分に色素が沈着したり、メラノサイトが増生したりするため、通常のシミと区別されて「あざ」と呼ばれることもあります。20歳前後から出現することが多いとされており、特にアジア人の女性に多いと言われています。 編集部: いろいろな種類のシミがあるのですね。 吉原先生: そのほかにもよく知られたシミの一種に肝斑があります。肝斑は両頬の骨に沿って左右対称にでき、境界が不明瞭なことが多い褐色の色素斑です。頬のほか、額や口周辺にもできることがあります。 女性ホルモンの乱れや日常生活におけるストレス、皮膚に対する摩擦が関係しているといわれ、30代以降の女性に多く見られます。 編集部: それぞれケアの方法は異なるのですか? 吉原先生: はい。一口にシミといっても、それぞれ発症のメカニズムは異なります。 異なるシミの治療法を行ったために、かえって症状が悪化するということもありますし、たとえばADMを肝斑と間違われ、トラネキサム酸をずっと服用していたけれど効果が見られなかったというケースも少なくありません。 編集部: それぞれのシミに合った治療を行わなければ意味がないということですね。 吉原先生: はい。また治療法が同じでも、経過が異なるものもあります。たとえば、老人性色素斑もADMも通常レーザー治療を行いますが、レーザー治療後の色素沈着はADMの方が長いのです。 でもそれを知らなければ「色素沈着は2週間くらいで落ち着くと聞いたのに、どうして薄くならないのだろう」と不安になってしまうことも多いと思います。 そのため効果的な治療を安心して受けるためには、正確な診断と適切な治療法の選択、さらに治療法の正しい理解が大切です。